「チャンピオン・カーニバル2025」【開幕戦】4.9後楽園大会 試合詳報&試合後コメント
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<入場式>

第1試合開始前に『チャンピオン・カーニバル』出場全選手による、入場式を実施。前年度優勝者の宮原健斗を筆頭に次々に選手が登場。全選手が揃ったところで、PWF会長ドリー・ファンク・ジュニア代理人の大隅良雄氏が開会宣言をおこなった。退場時には吉田がスミスJrに蹴りを叩き込み、怒ったスミスが吉田のTシャツを破く。さらにベッキオは対戦を控えるブランに襲い掛かり、最後はメインで激突する宮原と秀樹の2人が残り、リング中央でガッチリと握手を交わした。
<第1試合>
チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
斉藤レイ vs 本田竜輝

今年で45回目を数える春の祭典『チャンピオン・カーニバル』(以下、カーニバル)開幕戦のオープニングマッチは、3年連続3度目の出場となる斉藤レイと4年連続4度目のエントリーの本田竜輝の公式戦。両者のシングルは3度目で、昨年のカーニバル公式戦では本田が勝利している。
レイは開幕前の記者会見で「必ず優勝して、兄の斉藤ジュン、三冠チャンピオンに挑戦状を叩きつけてやる」と、兄弟での三冠王座戦を見すえたコメント。一方、過去3度の出場で芳しい結果を残せていない本田も「史上最年少優勝の記録を塗り替える」と今年に懸ける強い意気込みをのぞかせた。
ゴングと同時に両者はショルダータックルでぶつかり合う。レイがタックルで倒し、場外に出た本田を追いかけて鉄柵に叩きつける。鉄柱を背にした本田にレイが突進するも、これはかわされる。形勢逆転の本田が鉄柵にレイを押しつけて、レフェリーのカウントに合わせて「1、2、3、4!」。レイも逆水平チョップで反撃し、担ぎ上げるとエプロンに本田を叩きつける。再び鉄柱を背にした本田に突進し、今度は挟み撃ちにすることに成功。リングに戻ってもレイが攻勢に出る中、防戦の本田はカウンターのスピアで反撃。本田は串刺しラリアット。エルボーを叩き込み、レイの右腕を取る。しかし踏ん張ったレイがサイドバスターで叩きつけて形勢逆転。レイが串刺しラリアットからショルダータックル。しかし本田はカウンターでレイの右腕を絡め取り、ワキ固めで締め上げる。逃れたレイはランニング・クロスボディーアタック。本田もラリアットを返してバックドロップを放つが、レイもすぐに同じ技をお返し。本田をコーナーに乗せ、レイがヘッドバット。本田もエルボーを返し、担ぎ上げるとファイナルベントで叩きつける。レイもすぐに立ち上がって反撃を試みたが、かいくぐった本田が強烈なラリアットをぶち込んで3カウント。
本田が初戦から前世界タッグ王者を撃破し、幸先のいいスタートを切った。
<バックステージコメント>
本田「斉藤レイから勝った、スタートで勝てて、今日は第1試合で俺が勝った。メチャクチャいいスタートが切れたぜ! これで勝ち点2点か。おい! このままどんどん突っ走って、チャンピオン・カーニバル2025、この俺、本田竜輝が優勝する!」
レイ「本田竜輝、やってくれたな! ただな、チャンピオン・カーニバルは、今日はただの始まりにすぎねえ。次は必ずぶっ倒してやるぜ、フゥー! カモーン!」
<第2試合>
チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
大森北斗 vs 安齊勇馬

ともに3度目のカーニバル出場となる安齊勇馬と大森北斗の公式戦。2度目のシングル対決で、2年前のカーニバル公式戦では北斗が勝利。先日の3・29大田区大会ではアジアタッグ選手権試合で対戦し、安齊が北斗を下して防衛に成功している。
北斗は大田区大会で安齊と対戦したことで「生まれ変わった」と語り、その上で「アメリカで(病気と)闘っているサイラスのため、北斗軍魂のリーダーとして正々堂々と闘って優勝する」と宣言。懐疑的な視線もある中、言葉通りに「正々堂々」の闘いぶりを見せるかどうかに注目が集まっていた。
ゴング前、入場した安齊に大森が握手を求める。安齊が背中を見せると北斗が襲い掛かる素振りも、気づいた安齊が振り向くと、北斗は指切りをかわして正々堂々の振る舞い。しかし、再び安齊が背中を見せたところで、北斗がローブローを見舞って、早々に“正々堂々”の誓いを破る。北斗は安齊をコーナーに乗せたところでレフェリーにゴングを要請。雪崩式ブレーンバスターを決めてナルシストプレス(フロッグスプラッシュ)を狙うが、これはかわされる。エルボー合戦から北斗がローリング・エルボー。安齊はカウンターのジャンプング・ニーを叩き込む、背後からもう一発。安齊がバックを取ると、北斗が急所蹴り。北斗は強引に担ぎ上げて無想一閃もカウント2。北斗は再びナルシストプレスを放つが、剣山で防御した安齊がそのままクルッと丸め込んで3カウント。
北斗は正々堂々のファイトを見せないどころか、短時間で丸め込まれるという屈辱の敗戦。一方の安齊は入場時に着用しているジャンパーも脱がないうちに勝利を挙げ、史上最年少優勝に向けて好発進となった。
<バックステージコメント>
安齊「おい、大森北斗! オマエ、正々堂々もクソもねえじゃねえか! 不意打ち、急所、なんでもありじゃねえか! ただ、今日の開幕戦、勝ったのは安齊勇馬だ。チャンピオン・カーニバル2025、白星発進。このまま最年少まで全力で突っ走ります。ありがとうございました」
北斗「なん…なんてこったー! 俺の全勝優勝が…俺の全勝優勝がー!」
<第3試合>
チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
マイク・D・ベッキオ vs エーグル・ブラン

ともに初出場となる外国人選手同士の公式戦。エーグル・ブランはフランス出身の26歳で、2013年に14歳でデビュー。パリを拠点にドイツ、イギリス、スペインなどヨーロッパ各国で活動し、ドイツ『WxW』ではタッグ王座を獲得するなど活躍。“フランスの白い鷲”の異名を取り、身長185cmの長身ハイフライヤーとして多彩な空中技を操る。全日本には2023年7月に初来日し、今回が約1年8カ月ぶりの参戦となる。初のカーニバル出場に向け「キャリア最大のチャンスに全力を尽くす」とのコメントを寄せている。
対するマイク・D・ベッキオはベルギー出身の28歳で、2013年にデビュー。ヨーロッパ各国、アメリカ・TNAでも活動し、全日本には昨年末の『世界最強タッグ決定リーグ戦』で初来日。大石真翔とのコンビでエントリーして2勝5敗の成績に終わるも、183cm、110kgの大柄な体格でシューティングスター・プレスも繰り出すなど印象的な闘いぶりを見せた。ブランとはドイツ『WxW』のリングでもシングルをおこない、ダイナミックな空中戦で現地のファンを沸かせている。
序盤から両者は期待通りに軽快な動きを披露する。ベッキオはコルバタで相手を投げるが、突進はブランがかわしてお返しのコルバタ。さらに場外に出たベッキオに矢のようなトペを放つ。追撃のノータッチ・トペコンはベッキオがキャッチし、そのまま担ぎ上げてエプロンにパワーボムで叩きつけるという驚愕の切り返し。リングに戻っても、ベッキオがパワー全開。ブランも空中技で反撃し、ひねりを加えたブレーンバスターからミサイルキックの畳みかけ。カウンターでブランをリフトアップしたベッキオが後方に投げ捨てる。さらにムーンサルト・プレスも放つが、これはかわされる。しかし、場外に出たブランにノータッチ式プランチャを放ち、場内から「ベッキオ!ベッキオ!」のコールが起こる。リングに戻り、ベッキオが凄まじい飛距離のダイビング・ボディープレス。ブランもエプロンのベッキオに飛びついてDDT。さらにベッキオをリングに戻して、コーナートップからファイアーバード・スプラッシュを放つもかわされてしまう。ベッキオがカウンターのラリアットでブランを一回転させる。その後もノンストップの攻防が続いた中、ブランが雪崩式ドラゴン・スープレックスからファイアーバード・スプラッシュを決めるがカウント2。追い込まれたベッキオは起死回生のリバース・フランケンシュタイナーでブランにダメージを与えると、すぐさまコーナーに上ってシューティングスター・プレスを発射して、場内熱狂の一戦を制した。
カーニバル初出場の両選手は初戦でそれぞれの持ち味を存分に発揮し、今後のリーグ戦への期待をふくらませた。
<第4試合>
チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
青柳優馬 vs 菊田円

7年連続7度目の出場で、2022年に26歳6カ月という最年少でのカーニバル優勝を達成した青柳優馬とDRAGONGATEから初エントリーの菊田円による注目の初シングル。両選手は22年10月に開催された日本プロレス殿堂会主催の後楽園大会でトリオ(もう一人は鈴木秀樹)を結成したことがあり、同大会で菊田は宮原健斗とも対戦している。
青柳は初戦に向けて「菊田選手のケツを蹴り上げて、口から靴ヒモを吐き出させてやります」と相手の得意技(ジャンピング・ヒップアタック)を意識した挑発的なコメント。一方の菊田も「全日本の未来を尻でねじ曲げにきました。俺のケツだけ見とけ!」と、全日本の新世代勢との対決に向けて自慢のケツを力強くアピールした。
序盤から優馬がジャンピング・ヒップアタックを放つ。続けてヒップアタックを放つと、菊田もヒップアタックで迎撃して相打ち。菊田はエプロンの青柳にフロントキックを見舞って場外に叩き落とし、追撃のケツ攻撃を放つ。場外で菊田が強烈な破裂音を響かせる逆水平チョップを何発も見舞う。菊田が優馬をリングに戻すも、優馬はスルスルと場外へ。場外戦に持ち込んだ優馬が鉄柵攻撃。鉄柵を利用してのニードロップも見舞い、さらに菊田の“菊門”を痛めつける。菊田は逆水平チョップを軸に反撃。カウンターのダブルチョップで倒した菊田はショルダータックルからギロチンドロップの畳みかけ。優馬はカウンターのドロップキックで反撃し、ダイビング・クロスボディーアタックからエンドゲームを狙うが、菊田がロープエスケープ。エルボー合戦から菊田が串刺しラリアット、さらに串刺しヒッププレス。ブレーンバスターで叩きつけ、ローリング・エルボー狙いは優馬が切り返して、逆さ押さえ込み。カウント2で返した菊田がジャンピング・ヒップアタックを放つも、優馬はカンチョーで防ぎ、続けてアトミックドロップと徹底してケツをいたぶる。優馬がラリアット、垂直落下式ブレーンバスターもカウント2。突進してきた優馬に菊田がカウンターでジャンピング・ヒップアタック。もう一発ヒップアタックからラリアットを叩き込むがカウント2。ならばと得意のローリング・ラリアットを見舞って、3カウント。
菊田は元三冠ヘビー級王者を撃破し、DRAGONGATEの最高峰王座である元オープン・ザ・ドリームゲート王者の実力をまざまざと見せつけるとともに、一気にBブロックの台風の目に躍り出た。
<バックステージコメント>
菊田「全日本プロレス、これがDRAGONGATEの未来の力、菊田円だ! 三冠も巻いたことがある青柳優馬、さすがだ。さすがすぎるだろ。でもな、今日のチャンピオン・カーニバル公式戦、一発目で勝ったのは、この俺、菊田円だ。DRAGONGATEの闘いとは、まったく別だ。全日本プロレスで闘う菊田円、全日本プロレスのファンのみんな、俺の!ケツだけ!見とけー!(と指差しでアピールする)」
優馬「(バックステージのイスに倒れ込んで)おいおいおい、やられた…やられた!おいおいおい…(と言いながら引き揚げる)」
<第5試合>
10人タッグマッチ 20分1本勝負
ライジングHAYATO 綾部蓮 青柳亮生 長尾一大心 ザイオン vs 芦野祥太郎 MUSASHI 田村男児 井上凌 羆嵐

休憩明けの第5試合はカーニバル出場選手とジュニアヘビー級勢が交ざった10人タッグマッチ。MUSASHIは急性胃腸炎で3・29大田区大会を緊急欠場し、予定されていた吉岡世起との世界ジュニアヘビー級選手権も延期となった。同大会の欠場に関してライジングHAYATO、青柳亮生、井上凌、田村男児は王者を非難するコメントを残していただけに、各選手が復帰したMUSASHIに対してどのような出方を見せるかが、試合のテーマの一つとなっていた。
復帰戦のMUSASHIは序盤にHAYATOとの攻防。HAYATOがチョップからコルバタを放つが、MUSASHIも低空ドロップキックから背中にスタンプ。さらに低空ミサイルキックから「盛り上がっていこうぜー!」のアピールを見せるも、背後から攻撃を食らい、相手チームのトレイン攻撃のエジキとなる。亮生と長尾がMUSASHIにダブルドロップキック。しかしMUSASHIもうまく相手2人の誤爆を誘い、亮生をぶん投げて羆嵐につなぐ。羆嵐が亮生にアルゼンチン・バックブリーカー。亮生は技をかけられながら綾部にタッチ。綾部は羆嵐にジャンピング・ネックブリーカードロップ。羆嵐のラリアットを防いだ綾部がフルネルソンバスター。それぞれタッチでザイオンと芦野の攻防。互いにエルボースマッシュを打ち合い、芦野が俵返しで放り投げる。ザイオンは至近距離のフロントキックからスパインバスター。カットに入ってきた羆嵐に長尾が619からミサイルキック。両チームの選手が入り乱れる中、MUSASHIはノータッチ・トペコンで宙を舞う。リング上はザイオンと芦野の1対1。打撃を放ち合う中、芦野がバックを取りジャーマン・スープレックス。アンクルロックで捕獲すると、ザイオンが芦野を蹴飛ばして脱出。ザイオンはエルボーアタックからデスバレーボム。さらに猛烈なダッシュから放たれる強烈なスピアで芦野を粉砕し、公式戦での激突を前に破壊力を見せつけた。
また、バックステージでMUSASHIは延期となっている吉岡とのタイトルマッチを5・18大田区大会で実現させたい意向を示し、その上でほかのジュニア選手に対しても「ただ文句言うだけじゃなくて、このベルトを取りに来いよ」と言い放った。
<バックステージコメント>
HAYATO「チャンピオン・カーニバル始まったね。まあ、正直、ジュニア選手はこういう多人数のタッグマッチが多くて、地方によってはお休みの選手もいる。だけどね、なんだろう、逆に燃えてくるね。多人数のタッグマッチがメインイベントとかをどんどん食べていくから、みんな楽しみにしてて。Let’s Punk!」
亮生「チャンピオン・カーニバルが始まり、ジュニアの選手は端へ端へと追いやられて暗くなっちゃったりするけど、たくさんの『アツキ』コール、これを聞いちゃうと下向いてられないなってなります。で、いろいろ言いたいんですけど、いまどきヘビーだジュニアだって分かれてる団体も少ないほうじゃない。だからせっかく分かれてるんだから、ジュニアらしさを青柳亮生はいままで通り出し続けて、チャンピオン・カーニバルで埋もれないようにしたいと思いますので、青柳亮生にも全日本ジュニアにも注目いただけたらと思います」
綾部「チャンピオン・カーニバルが今日から開幕したな。しかし見ての通り今日の俺は10人タッグマッチ、公式戦なしだ。まあ、いろいろなんで組まれてないんだとか言ってきたが、ポジティブに解釈すれば楽しみは後に取っておくということにしておこうか。次12日福岡、公式戦初戦、青柳優馬だ。さっき公式戦見てたけど、オマエ負けてたな。DRAGONGATEの菊田円に。初参戦の他団体選手に開幕戦で負ける。そんな人間は福岡で早々に終わらせてやる」
長尾「このチャンピオン・カーニバル期間、ジュニアの選手はいままでよりスポットライトを浴びる機会が少ないかもしれない。でも、そんなジュニアの先輩たちよりも、ボクは盛り上げられる武器を一つ持っています。それは、ボクはいままでデビューしてまだ自力勝利はしていません。ボクが練習生のときにボディースラム、ドロップキック、ミサイルキックとか、いろんな技習ってきましたけど、それは全部相手から3カウントを取る技です。このチャンピオン・カーニバル期間、ボクは初勝利を目指します。ありがとうございました」
MUSASHI「まずは3月29日の大田区大会、欠場してしまい、申し訳ありませんでした(頭を下げる)。タイトルマッチに穴をあけた張本人が言うのもなんですけど、俺はせーちゃん(吉岡)と闘いたい。せーちゃんとのタイトルマッチは必ず実現させないといけないと思ってます。延期になったせーちゃんとのタイトルマッチですけど、今シリーズの最終戦、5月18日の大田区総合体育館でやりたいと思ってます。全日本プロレスにもこの旨は伝えました。そしてもう一つだけ、ジュニアの選手たちからいろんな意見が出てるみたいですけど、当然だと思います。なに言われても仕方ないです。ただ! ただ、俺はこのベルトを返上するつもりはありません。文句あるなら、俺からベルト取って来いよ。ただ文句言うだけじゃなくて、このベルトを取りに来いよ。一人ずつ相手してやるよ」
井上「チャンカン、始まったな。俺さ、チャンカンのシリーズのカード見たけど、もうゴッチャゴチャだね、ジュニア。もう適当にやりすぎ。ユニットもさ、なんも関係なくいろいろとゴッチャゴチャして、俺としては楽しくないかな。だけどさ、そんな中でもちゃんとやれるところはあると思うしさ、そこは俺はちょっと頑張ってやりたいね。とにかくチャンカン中は、ちょっと不満なことが多いよ」
芦野「ザイオン、今日は10人タッグ、完全においしいとこ持ってったな。とんでもねえスピードとパワー。だがな、公式戦、こうはいかねえぞ。アイツと俺はなにか通じ合うものがある。なにか、ヒゲかな、髪型かな。スポーツに一心不乱に取り組んできた気持ちか。わかんねえけど、アイツとシングルでチャンピオン・カーニバルの公式戦、タップアウトさせてやるよ」
羆嵐「チャンピオン・カーニバル2025開幕したな。3年ぶり3度目の出場だよ、この羆嵐。開幕戦でよ、公式戦がねえっていうのも、俺は別にいいけどよ。俺とザイオンの開幕戦、見たかったヤツもいるんじゃねえの? どうなんだよ? ザイオン、確かにすげーよ。WWE、ラガーマン? 関係ねえよ。この羆嵐もな、自分に厳しく鍛錬してんだよ。おい、必ず、福岡だな。ザイオン、この俺が、羆嵐が日本のプロレス界の洗礼を浴びせてやるからな、首洗って待っとけ。ハァァー!」
<第6試合>
チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
デイビーボーイ・スミスJr. vs 吉田隆司

2年連続2度目の出場となる前三冠ヘビー級王者のデイビーボーイ・スミスJrとDRAGONGATEから6年ぶり2度目の祭典エントリーの吉田隆司による公式戦。スミスは昨年ブロック2位であと一歩のところで優勝決定戦進出を逃しただけに、本人の「今回はトロフィーを取りにいく」との言葉通り、1年前の悔しさを晴らすためのリーグ戦となる。吉田は3・9後楽園大会での“春季トライアウト”で合格を勝ち取り、晴れて北斗軍入り。3・29大田区大会では北斗とのコンビでアジアタッグ王座に挑むも敗北。しかし、試合後に同ユニットのサイラスの代替としてカーニバル出場をアピールし、6年ぶりの出場が決定した。ちなみに前回のカーニバルでは4勝4敗の成績を残している。
吉田は自作の『チャンカンラップ』をバックに入場。セコンドには北斗軍リーダーの大森北斗と羆嵐が付く。開始早々、ロープに詰めてクリーンブレークのスミスが握手を求めるも、吉田は手を弾いて拒否。今度は吉田がロープに詰めてクリーンブレークから握手の手を差し出す。スミスが警戒すると、吉田はセコンドの羆嵐、北斗と握手を交わして安心させる。しかしスミスが応じようとしたところで、不意打ちの地獄突きを見舞い、場内からブーイング。吉田は手首のテーピングを剥ぎ取り、それで首絞め。ボディースラム狙いは、スミスを持ち上げることはできず。スミスはカウンターのショルダータックルで反撃。場外戦に連れ出して鉄柵攻撃、さらにエルボースマッシュも放っていく。リングに戻したスミスは、十字架固めでフォールを狙う。防戦の吉田に場内から「タカシ」コールが発生。スミスが強烈なサイドバスター、続けてヘッドシザースから腕も決めて、グラウンドでジワジワと痛めつける。防戦一方の吉田はアイアンクローから地獄突き。スミスをコーナーに叩きつけ、続けて地獄突きを連発する。さらにブレーンバスターでスミスを叩きつけるが、サミングを防がれ、バックドロップで叩きつけられる。ブルドッグボム狙いは吉田がリバース。スミスをボディースラムで叩きつけ、セントーン。さらに延髄斬りを放ち、カウンターの強烈なラリアットでスミスを吹っ飛ばす。ロープを揺すってアピールを見せた吉田がコーナーに上るも、スミスはとらえアバランシュホールド。続けてのダイビング・ヘッドバットで3カウント。吉田のトリッキーな動きを退けて、前三冠ヘビー級王者が好発進。試合後は観客とともに「オー、オー、オー!」のアピールを何度も見せ、意気揚々と引き揚げた。
<バックステージコメント>
スミス「デイビーボーイ・スミスJrにとって今日がチャンピオン・カーニバル2025の初戦だ。吉田は手強い相手だったが、自分が一番強い理由を、自分が最もタフなガイジンである理由を、そしてなぜ一番なのかを示した。Aブロック、Bブロック、Cブロック…ブロックは関係ない。デイビーボーイ・スミスJrがタフネスを見せつける。邪魔するヤツはブルドッグボムやダイビング・ヘッドバットで葬ってやる。チャンピオン・カーニバル2025はデイビーボーイ・スミスJrのものだ。アイ・ラブ・ゼンニッポン!」
吉田「シャラップや、チャンピオン・カーニバル初戦、落とした。シャラップすぎる。でも、こっからや。俺の2025チャンピオン・カーニバルはこれが始まりだ、俺が優勝する、隆司が優勝する! 楽しみにしておけよ、シャラップ! 楽勝の湖!」
<第7試合>
チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
斉藤ジュン vs 真霜拳號

3年連続3度目の出場で現三冠ヘビー級王者の斉藤ジュンと2AWから8年ぶり4度目のエントリーの真霜拳號の公式戦。両者はタッグでの対戦はあるものの、シングルは初。ジュンは2019年の宮原健斗以来、6年ぶり史上8人目の三冠王者でのカーニバル制覇を目指す。真霜は肩の負傷により欠場した19年のカーニバルの「清算」を個人的なテーマに掲げている。
序盤、ジュンが場外戦で真霜を痛めつけてペースを握る。エルボー合戦もジュンが攻勢。エプロン上でもエルボーを打ち合い、ジュンがチョークスラムを狙う。こらえた真霜がジュンの腕を取ってエプロンをダッシュし、鉄柱にぶつける。場外マットを剥がした真霜はエプロンでジュンの右腕をとらえ、ヒザを押し当てながら床の上に叩きつける。リングに戻っても、右腕をとらえてワキ固めから腕固めで絞り上げる。ジュンがロープエスケープ。真霜はジュンの右腕に鋭い蹴りを見舞い、アームブリーカーも決める。ジュンは痛みをこらえながら、右腕でエルボー。しかし威力は弱く、ダメージを与えることはできず。真霜はエルボーをかわすとジュンの右腕を取りアームロックの体勢。しかし、ジュンは強引に担ぎ上げて叩きつけ、串刺しフロントキック連発。滞空時間の長いブレーンバスターで叩きつけ、チョークスラムを狙う。しかし真霜はうまく腕を絡め取って、ワキ固めに持ち込む。さらに無道につなげてギブアップを迫るが、ジュンはどうにかロープエスケープ。コーナーの真霜をとらえたジュンだが、切り返されて雪崩式アームブリーカーを食らう。それでもジュンは打撃で反撃し、サイコブレイク狙い。真霜が切り返してアームブリーカーも、ジュンもカウンターでスピア。真霜はカウンターのレッグラリアットから蹴りを放つが、ブロックしたジュンが打撃のコンビネーションからラリアット。ジャックハマーで叩きつけるが、真霜はカウント1で返す。ジュンはフロントキックから真霜をコーナーに乗せるが、コーナー上で腕を決める。それでもジュンは担ぎ上げて、雪崩式バックフリップ。最後はDying Light(ランニング・フロントキック)を叩き込んで苦しみながらも3カウントを奪った。
現三冠ヘビー級王者が“新たな武器”とともに白星発進を見せたが、一方で右腕を徹底的に痛めつけられ、今後のリーグ戦への影響が心配される。
<バックステージコメント>
ジュン「チャンピオン・カーニバル開幕戦、勝ったぜ! 真霜拳號、ちゃんとこうしてやり合ったことなかったけど、やはり強いな。腕がぶっ壊れると思ったぜ。だが、勝ったのは俺だ。またじっくりとやりたいな。ちなみに俺が最後に出した技はDying Lightって言うんだ。覚えとけ、DOOM!」
真霜「クソがっ。重てえな、おい。あぁ、あぁ、クソが。全部、重てえじゃねえか。想定以上だったよ。ちょっと甘かったな。だけどさ、まだ1戦だろ、1敗は計算のうちだ。全勝優勝できるなんて思ってねえんだよ、俺は。そのあたりはよ、今日のダメージを最小限に抑える、最後はちょっと訳わかんなくなってしまったけど、ひきずるダメージはねえぞ。週末からまた100%で行ってやる。この1敗は計算の内。別にどうってことねえよ。斉藤ジュン、またやってやるぞ。右腕がダメなら左腕、左腕がダメなら左足、左足がダメなら右足。それでもダメなら全部潰してやるよ、バカ野郎」
<第8試合>
メインイベント チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
宮原健斗 vs 鈴木秀樹

開幕戦のメインイベントは前年度カーニバル覇者の宮原健斗と今年1月から全日本所属となった鈴木秀樹の公式戦。宮原は最多連続記録となる12年連続12度目の出場で、過去2度(2019&2024年)のカーニバル制覇を誇る。3・29大田区大会では斉藤ジュンが保持する三冠ヘビー級王座に挑戦するも敗北。「もう三冠ベルトに宮原健斗は必要ないんじゃないか」と自信を失いかけたが、ファンの後押しを受けて再び心を奮い立たせ「もう一度、頂点を取りたい」との貪欲な気持ちでリーグ戦に臨む。
対する秀樹は2年連続2度目のエントリーで、昨年は4勝3敗のブロック2位タイの成績。フリーとして全日本を主戦場にした昨年1年間を通して「誰がどのベルトを巻いていようが全日本プロレスは宮原健斗」と実感したと語り、その上で所属として迎える今年のカーニバルは「開幕戦がすべて」と断言する。宮原もまた秀樹との公式戦を「キーポイント」に挙げており、初戦にして双方にとってリーグ戦の行方を占う大一番となる。ちなみに両者のシングルは昨年9月の王道トーナメント1回戦以来2度目で、前回は宮原がシャットダウン・スープレックス・ホールドで勝利している。
じっくりとした立ち上がり。宮原がブリッジワークからリバース・スープレックスで投げる。グラウンドで秀樹がバックを取る。宮原がレッグロックに切り返そうとすると、秀樹は巧みに丸め込んでフォールを迫る。秀樹がフルネルソンで締め上げる。さらにサーフボードストレッチを決め、宮原の切り返しを許さずにジリジリと締め上げる。秀樹はヘッドロックに移行。逃れた宮原がフロントキックで秀樹を場外に出す。場外戦で宮原がヘッドバットを連発し、場内に「ゴツンッ!」という衝撃音が響く。秀樹も宮原を鉄柵に叩きつけ、エルボースマッシュ。宮原もチョップを返すが、秀樹は振り下ろすようにナックルを返して反撃を断ち切る。秀樹が先にリングに戻る。宮原が場外カウント9でリングに戻ると、すかさず秀樹が覆いかぶさるように首をとらえる。宮原がロープをつかむも、秀樹はかまわずにスリーパーホールド。
宮原は低空ドロップキックを放つが、秀樹はそれ以上の畳みかけは許さずに、グラウンドで首と腕を決め、さらにふくらはぎ部分を頭部に叩きつけるというエグい攻め。場内から「ケント」コールが起こる中、宮原にダウンカウントが数えられる。6まで数えられたところで秀樹が宮原を起こして足、腕を踏みつけ、ネックツイスト。再び宮原にダウンカウント。5で立ち上がると、宮原は秀樹のヒザにドロップキックから続けて低空ドロップキック。秀樹の腕を絡め取ると、そのままグラウンドに引き込んでスネークリミットで締め上げる。
今度は秀樹がダウンするが、宮原はかまわずにエプロンに連れ出してパイルドライバーを見舞う。秀樹は場外でダウン。場外カウント8でリングに戻る。宮原がブラックアウトも、秀樹も宮原を担ぎ上げてカナディアン・ロッキーバスターで叩きつける。秀樹は宮原の片腕を決めてボディーにエルボーを連発し、さらに腕を決める変型メキシカンストレッチ。脱出した宮原が至近距離からブラックアウト。ブラックアウト狙いをかわした秀樹がヒザ立ちの宮原にエルボーを突き刺し、胸板を蹴り上げてカバーに入るもカウント2。宮原がブラックアウトを叩き込み、追撃のブラックアウトもカウント2。シャットダウン・スープレックスを狙うが、秀樹は脱出するとボディーにエルボー。素早くダブルアーム・スープレックスを放ち、クラッチを離さずにもう一発決めて、覆いかぶさるようにカバーに入って3カウントを奪った。
自身にとって全日本プロレスとイコールで結ばれている宮原を下した秀樹はマイクを持つと、「もし、全日本プロレスになにか外からの危機があった場合は、すべてボクが相手をします。外部の人間が誰の名前を出そうとも、(相手として)出るのは鈴木秀樹だけです」とアピール。所属として迎えた初のカーニバルで、全日本の“門番”、全日本マットを形成する“強さの象徴”の一人としての自覚をにじませ、春の頂点獲りへのスタートを切った。
<秀樹のリング上でのマイク>
「今日は勝つ予定だったので、それなりの喋りたいこととかを用意してきたけど、やっぱり(言うのは)やめます。それはこのチャンピオン・カーニバル2025開幕戦だけではなくて、宮原健斗とのボクの人生を懸けた一騎打ちで勝ったから、言葉で汚すことはしないようにします(場内から拍手)。でも、ちょっとだけ。記者会見で言った通り、宮原健斗が全日本プロレスだという気持ちは、いまこの瞬間においても変わってません。ボクが全日本プロレスに入って、なにができるか考えました。中を盛り上げていくのは若い選手たち、そして宮原健斗、青柳優馬、いろんな選手がいます。もし、全日本プロレスになにか外からの危機があった場合は、すべてボクが相手をします。外部の人間が誰の名前を出そうとも、(相手として)出るのは鈴木秀樹だけです(大きな拍手)。それでもやりたいならプロレス界やってみろ、俺は面倒くせえぞ! 試合だけじゃねえからな、SNSも振り回す。だから今日来てくれたお客さん、それからマスコミ関係者、プロレス界、よく覚えとけ。俺が全日本プロレスの鈴木秀樹だ! ありがとう!」
<バックステージコメント>
秀樹「リング上で言った通りです。いろんなことを言うことによって、汚したくないので、喋りません、自分からは。(「全日本プロレスの鈴木秀樹だ」という言葉の意味は?)それは一番分かってるんじゃないですか?YouTubeでガオラTVのサイトで上がってて、ボクがWRESTLE-1に上がったときの試合を最近見て、あぁ面倒くせえヤツだったなと思って。ボク自身もお客さんも…お客さんはそうでもないな。マスコミの皆さんもどこかでナァナァになってしまったかなと思うので。本来ボクはそういう人間ですから。皆さんの言うことは聞かないし、みなさんの世界の常識はボクには関係ないし。それがイヤだったら、別にボク取材しなくてけっこうです」
宮原「まだ目の前がポワァ~っとしてるよ。皆さんとカメラがポワァ~っと二重に見えるよ。なんだ、あんな強えヤツがまだいたんだな、この世界に。なんかよ、この世界に入ったときのことを思い出すような、打撃、スープレックスだったよ。この世界に入ったときを思い出したよ。ああいうヤツ、よくいたな。ああいうエルボーの一つ、蹴りの一つが強えレスラーがな。アイツは唯一無二だ。いまのこの時代も生きてるんだな。そんなヤツが全日本プロレスにいると思ったら、恐ろしいよ。ただ、開幕、何年連続だ、俺が負けからスタートしてるの。ただよ、俺はもう、ポジティブ人間を取り戻したからよ。ここ数年、負けからスタートしたときは必ず、優勝決定戦の舞台に進んでるんだな。次は今週土曜日、福岡だ。俺の地元だ。このスーパースターを育て上げた福岡だ。真霜拳號! 久しぶりだな、オマエもまだ入場曲も格好もなにも変わってねえな。オマエこそアンチエイジングだ。真霜拳號、テメエの年齢なんて想像もつかねえ。公表してんのか、そもそも。アイツは変わんねえな。福岡で真霜拳號、オマエを利用させてもらう。負けからスタートするときは、俺は必ず優勝決定戦に進む。そして俺が優勝しなきゃ、日本のプロレスファンは面白くねえだろ」