「チャンピオン・カーニバル2025」4.23後楽園大会 試合詳報&試合後コメント
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<第1試合>
チャンピオン・カーニバルAブロック公式戦 30分1本勝負
吉田隆司 vs ザイオン

『チャンピオン・カーニバル』(以下、カーニバル)も中盤戦に突入し、今大会では星取り争いを大きく左右しそうな注目の公式戦がいくつも組まれた。第1試合ではいまだ白星のない吉田隆司と持ち前の爆発力を武器に迫力のある闘いを見せているザイオンが激突。
ロックアップから、ザイオンがロープに詰めてクリーンブレーク。吉田が握手を求めるも、ザイオンが応じないとみるや「ノー、ジェントルマン!」と挑発。ザイオンがヘッドロックでとらえて、締め上げる。ショルダータックルもザイオンが優勢。場内からの「タカシ」コールに吉田が気合をこめてザイオンに突進するも、倒すことはできず。ならばと隙を突いて地獄突きを見舞うが、カウンターのショルダータックルで倒されてしまう。ザイオンは場外戦に吉田を連れ出し、鉄柵攻撃で痛めつける。ザイオンがコーナー上からの攻撃を狙おうとするも、吉田はゴロゴロとマットを転がって阻止。それでもザイオンは強烈なキャメルクラッチで絞り上げて、ギブアップを迫る。
防戦一方の吉田はザイオンの突進を迎撃し、エプロンの相手に地獄突きを連発。さらに鉄柱に叩きつけて、攻勢に出る。ヘッドバットを放った吉田はみずからのダメージの方が大きく仰向けにダウン。するとそこにザイオンも倒れ込んで、吉田の下腹部を直撃。吉田も相手のチョップを食らい後方に倒れながら、ザイオンの急所を蹴り上げる頭脳的な戦法。吉田は地獄突き連射から延髄斬り(2019CC)と畳みかけるも、カウンターでザイオンのラリアットを食らい、続けて猛烈なスピアを食らい3カウントを奪われた。
吉田はこれで3連敗と崖っぷちに追い込まれたものの、「まだわからんぞ」と諦めるような素振りは一切見せることなく、次戦の4・26名古屋での宮原戦に向けて前を向いた。
<バックステージコメント>
吉田「シャラップ! 楽勝の湖!…とはいかんかったけど、なんや今日で3戦3敗か。いや、まだわからんぞ。俺がこっから、おい、チャンピオン・カーニバル、シャラップするからな。オマエら楽しみにしとけよ。楽勝の湖!」
<第2試合>
チャンピオン・カーニバルAブロック公式戦 30分1本勝負
芦野祥太郎 vs 真霜拳號

ともに3敗を喫して、星取りで後がない状況の両選手による公式戦。芦野は4・20所沢大会のバックステージで「日本プロレス界のテクニカル、技巧派の試合で一番を見せられるんじゃないか?」と、互いに一点攻めなど細かな技術を駆使する真霜拳號との闘いを楽しみにしている言葉を残した。
真霜は序盤から場外戦も駆使し、芦野の左腕を痛めつけていく。芦野が逆水平チョップで反撃に出ると、真霜もチョップ、エルボーを返していく。真霜は芦野の突進に合わせて飛びつくと、腕ひしぎ十字固めの体勢。しかし芦野は切り返してアンクルロックで捕獲する。互いに腕、足を取り合ってグラウンドでの切り返し合いを展開する中、芦野が執ようなアンクルロックで真霜を追い込んでいく。追い詰められた真霜はアンクルロックを脱出して腕を決めにかかるが、芦野は担ぎ上げて強引に投げ捨てる。芦野はラリアットからバックドロップもカウント2。ジャーマン・スープレックス・ホールドもカウント2で返され、続けてTボーン・スープレックスを狙うが、真霜はこれを切り返してグラウンドに持ち込んで無道でエグく締め上げてギブアップを奪った。
一点攻めを軸とした技巧戦を制した真霜は3勝3敗と星を五分に戻した一方、芦野は泥沼の4連敗。優勝戦進出に向けてかなり厳しい状況となったものの、「消化試合にはさせない」と一つでも多くの白星をもぎ取るべく、全身全霊を傾けて残りの試合に向かっていく意気込みを示した。
<バックステージコメント>
真霜「芦野、芦野、強ぇな、おい。これまでのヤツらと比べてよ、そんなにデカくねえからもうちょっとラクかと思ったけど。足首、首やられたな。おもしれぇなぁ。テメエとはもう一回、どっかでやってやる。悔しいだろ? 悔しかったらよ、もう一回やろうぜ。これで俺は3勝3敗、五分に戻した。あと全部、勝つだけ。何度でも言うぞ、俺はもう勝つしかねえんだ。なんとしても残り全部、勝つ!」
芦野「4連敗、4連敗か。アァー! なんでだ。俺がタップさせられた。もう終わりか。いや、終わりじゃねえか。一つでも勝つ。もう、優勝はないかもしんねえ。でも、残りの試合も消化試合にはさせない。全勝だ、残りは全勝だ。負け越しは許されねえな。勝つぞ。アンクルロックだよ、自分の信じたもので俺は勝つぞ。アンクルロックだ」
<第3試合>
チャンピオン・カーニバルBブロック公式戦 30分1本勝負
本田竜輝 vs 綾部蓮

開幕戦(4・9後楽園)で斉藤レイを下し、その後も青柳優馬、安齊勇馬から勝利を挙げるなどBブロックでもっとも勢いに乗っている本田竜輝が、昨年の『王道トーナメント』優勝決定戦で敗れている綾部蓮とのELPIDA同門対決に臨む。綾部は4・20所沢大会でレイを撃破して公式戦初白星。本田の快進撃にストップをかけて、巻き返しに向けて弾みをつけたいところ。
序盤から体格で勝る綾部がペースを握る。串刺しフロントキックからグラウンドでアイアン・メイデンを決めにかかるが、本田がロープエスケープ。ブレーンバスター狙いは本田がリバースして叩きつける。本田は「アヤベー!」と叫んで串刺しラリアット、スピアと畳みかける。グラウンドでアームロックを決めると、綾部がロープエスケープ。「投げるぞ!」とアピールしてバックに回った本田だが、綾部は投げさせず。本田をコーナーに乗せると、綾部はドロップキックを叩き込んで場外に落下させる。綾部はエプロンでフルネルソンの体勢。本田が脱出し、エプロン上でエルボー合戦。本田が打ち勝ち、綾部のバックをとらえるとジャーマンで投げ捨てる。綾部はカウント9でリングに戻る。
互いに串刺し攻撃を見舞い合い、本田がショートレンジ・ラリアットを放てば、綾部はブレーンバスターを返す。消耗戦となった中、本田がグラウンドでクロスフェースロックで締め上げると、綾部がロープエスケープ。本田が「終わりだ!」の雄叫びとともにラリアットを見舞うも、綾部はカウント2で肩を上げる。ファイナルベント狙いは綾部が阻止。カウンターのドロップキックを叩き込むと、フルネルソンバスター。本田のラリアットをカウント2で返した綾部は、再びファイナルベントを防ぐと、投げっぱなしドラゴン。本田も投げっぱなしジャーマンを返すが、綾部はすぐに立ち上がってドラゴン・スープレックス・ホールド。これをカウント2で返されると、デスルーレットで3カウントを奪った。
昨年の王道トーナメント決勝に続いて本田を下した綾部は、ファン投票の結果により第3試合になったことに悔しさをのぞかせながらも、「本田竜輝との闘いは、本当に全部を出し尽くさないと勝てない。そういう極限の闘い」と、本田とのシングルに対する思いの深さと試合内容への充実感をにじませた。星取りも五分に戻し、「綾部蓮が頂点に上り詰める」とカーニバル優勝を見すえた。
<バックステージコメント>
綾部「王道トーナメント決勝戦以来の本田竜輝との一騎打ち。まあ、ファン投票の結果、第3試合で組まれたけど、それが見てる人の評価なんだろう。ただ、本田竜輝との闘いは、本当に全部を出し尽くさないと勝てない。そういう極限の闘い。試合順とか関係なく、そういう闘いをしたつもりだ。チャンピオン・カーニバル、これ以上、負けらんねえんだ。ここから、連敗スタートで始まったから、綾部蓮が頂に上り詰める」
本田「クソッ! 綾部蓮に負けた、悔しい。チャンピオン・カーニバルもあと3戦続くし、いつまでも落ち込んでらんねえよ。あと3戦、全部勝って、大田区に進むだけだ」
<第4試合>
チャンピオン・カーニバルBブロック公式戦 30分1本勝負
安齊勇馬 vs 菊田円

ともに1999年生まれで同年齢の安齊勇馬と菊田円による注目の初シングル。デビューは菊田が2年早いが、全日本とドラゴンゲートの新世代を担い、ともに団体の最高峰王座を史上最年少で戴冠したという共通項を持つ。
開始早々、安齊が打点の高いドロップキックを突き刺して、場内からどよめきと歓声を引き出す。場外戦になだれ込むと、安齊がエルボーを放ち、鉄柵に叩きつける。菊田も強烈な破裂音の逆水平チョップを返して鉄柵に振るが、安齊は鉄柵に飛び乗りエルボーアタックで襲い掛かる。リングに戻り、安齊がエルボー連打。菊田は安齊の突進をかわすと、強烈な逆水平チョップで応戦。安齊は菊田を場外に落としてエプロンを走ってのニー攻撃を狙うも、かわした菊田は逆にエプロン上からヒップアタックを見舞う。なおも菊田は逆水平チョップを返し、鉄柵際の安齊へのヒップアタックも放つが、みずからの腰にもダメージを負う。リングに戻り、菊田は腰を押さえながらも串刺しヒッププレス。逆水平チョップで安齊を倒し、顔を踏みつけると場内からブーイング。ランニング・ヒップアタックはカウント2。
防戦の安齊は菊田の突進を迎撃し、セカンドコーナーからのミサイルキックで反撃。串刺しエルボーアタックからベリー・トゥ・ベリー。なおも安齊はカウンターでドロップキックをぶち込み、ジャーマンを狙うが、これは菊田が踏ん張る。エルボーのラリーからヘッドバットの打ち合い。張り手も相打ちとなった中、安齊はカウンターでジャンピング・ニー。菊田も負けじとカウンターでジャンピング・ヒップアタック。安齊が投げっぱなしジャーマンを放つも、すぐに立ち上がった菊田もローリング・ラリアットをぶち込む。再度のローリング・ラリアット狙いは安齊が阻止して投げっぱなしドラゴン。ジャンピング・ニーからジャーマン・スープレックス・ホールドと畳みかける。ギムレット狙いは菊田が脱出し、背中を向ける安齊にジャンピング・ヒップアタック。さらに正面からもジャンピング・ヒップアタックを見舞い、ショートレンジ・ラリアットを決めるも、安齊はカウント1でカバーを返す。菊田の走り込んでのラリアットはカウント2。ならばとローリング・ラリアットを叩き込んで、ついに3カウント。
元三冠ヘビー級王者から価値ある1勝を挙げた菊田は「全日本プロレスとドラゴンゲートの差だ」と公式戦の1勝以上の“重み”をアピール。一方、越境新世代対決に敗れた安齊は「もう一回やらせてくれ!」と早期の菊田へのリベンジをアピールした。
<バックステージコメント>
菊田「いや、(腰を押さえながら)痛い。チャンピオン・カーニバル3戦目、安齊勇馬。俺よりもキャリア下で、俺よりも早く団体のトップ取って、それでいまこの調子とか。俺がドラゴンゲートの歴代最年少キャリアによるドリームゲートを取った、この俺にオマエが負けたとは、どういうことか分かるだろ? 言わなくても分かるよな? 全日本プロレスとドラゴンゲートの差だ」
安齊「アァー、クソ、クソッ! 菊田円、俺はチャンピオン・カーニバル中でもいい、終わってからでもいい、もう一回、もう一回、やらせてくれ。クソ!」
<第5試合>
チャンピオン・カーニバルBブロック公式戦 30分1本勝負
青柳優馬 vs マイク・D・ベッキオ

3戦を終えて1勝2敗と苦しい公式戦の立ち上がりとなっている青柳優馬が、無敗でBブロックを快走するマイク・D・ベッキオと対戦。ベッキオは4・13広島大会後にアメリカでの試合を挟み、全日本マットに再合流しての公式戦となる。
青柳は序盤、ベッキオをコルバタで投げて、相手のお株を奪うように両腕を突き上げてポーズを決める。青柳が腕を取って絞り上げると、ベッキオはロープに飛び乗っての華麗な切り返しを見せる。エプロンの優馬をフロントキックで叩き落とすと、トペの追撃を見舞う。場外戦で優馬を担ぎ上げたベッキオがエプロンに投げ落とすという荒っぽい攻撃。リングに戻り、ベッキオが飛行距離の長いダイビング・エルボードロップ。続けてのファイアーバード・スプラッシュ狙いは優馬がスカして、串刺しエルボー。コーナーからのクロスボディーアタックを連発で見舞う。
ベッキオはコーナーに飛び乗った優馬をジャンピングキックで場外に落とすと、ノータッチ式プランチャを放つ。攻勢に出るベッキオはトラースキックからXボムもカウント2。優馬はトリプルスプリングボードカッターをネックブリーカーの要領で切り返し、強烈なラリアット。ロックスターバスターをカウント2で返されると、THE FOOL(ザ・フール)で3カウントを奪った。
優勝戦進出争いに踏みとどまった優馬は試合後にマイクを手にすると、ファン投票の結果に恨み節(?)もぶつけつつ、5・18大田区での優勝決定戦進出をアピール。最後は優勝を果たした際の予行練習とばかりに観客とともに「バーカ!」の大合唱をおこなった。
<リング上での優馬のマイク>
優馬「静粛に、静粛に。本日は後楽園ホール大会にお越しいただき、ありがとうございます。5月18日、大田区大会で優勝決定戦がありますが、今日ここにお集まりの皆さん、並びにSNSでメインイベントに投票した、(自分の試合に)入れてくれなかったせいで、第5試合となったが、5月18日は俺の力で必ずチャンピオン・カーニバル優勝(決定戦)という舞台に勝ち上がってやるからな。青柳優馬がトロフィーを掲げながら、皆さんといっしょに叫びたい言葉があります。そのために今日は5月18日に向けた練習をしておきましょう。皆さん分かりますか? ボクが『せーの』と言ったら(客席から「バーカ!」の声)、さすがですね、『バーカ』で行きましょう。皆さんの言いたいこと、言いたい誰かを頭に浮かべながら、思いっきり叫んじゃってください。いきますよ、せーの、バーカ!」
<バックステージコメント>
優馬「今日の対マイク・D・ベッキオの勝因はたった一つ、マイク・D・ベッキオ、どうやらアメリカの(ラス)ベガスに行ってたらしいじゃねえか。それで昨日だかに日本に帰ってきたらしいですね。間違いなく今日の俺の勝因は、いやマイク・D・ベッキオの敗因は時差ボケです。あれがなかったら俺が危なかったかもしれない。マイク・D・ベッキオ、凄いですよ。でも、そのマイク・D・ベッキオに勝った青柳優馬、ほんのちょっと凄いでしょうよ。このままチャンピオン・カーニバル優勝に向けてバク進していくのみです。5月18日、大田区でいっしょに『バカ』を叫びましょう。チャンピオン・カーニバルが終わるまでバカな闘い、めっちゃバカバカしく続けてやります」
<第6試合>
チャンピオン・カーニバルAブロック公式戦 30分1本勝負
宮原健斗 vs デイビーボーイ・スミスJr.

宮原健斗とデイボーボーイ・スミスJrによる、元三冠ヘビー級王者同士による激闘必至の公式戦。昨年のカーニバルでは最終公式戦で激突し、30分フルタイム目前の紙一重の勝負の末、宮原がスミスを振り切っている。
序盤の場外戦でスミスが激しく宮原を痛めつける。リングに戻ってもスミスが多彩で攻め手で攻勢に出る。サーフボードストレッチの攻防では宮原がどうにか体勢をリバースするも、ダメージが大きく攻撃には移れず。それでもヒザへの低空ドロップキックからドロップキックと畳みかけ、串刺しエルボーアタック。スミスは「効かないぜ」とばかりのアピールからエルボー。宮原をコーナーに乗せて、雪崩式ブレーンバスターを狙う。宮原がこらえるとアバランシュホールド狙いに切り返るが、これは脱出されてしまう。リング中央でエルボーの応酬。宮原がフロントキックから投げっぱなしジャーマン。コーナー際のスミスにブラックアウトを放つも、カウンターでジャンピング・ニーを食らい、続けてブレーンバスターホールドも決められるもカウント2で返す。
スミスがブルドッグボムを狙うも、宮原はどうにかリバース。場内から「ケント」コール。スミスは宮原をコーナーに乗せて、最上段から雪崩式ブレーンバスターで叩きつける。続けてブルドッグボムを決めるが、宮原はカウント2で肩を上げる。スミスはコーナーに上り、ダイビング・ギロチンドロップを投下するが、宮原がかわす。バックに回った宮原がシャットダウン・スープレックス狙い。切り返したスミスがバックドロップを狙うが、宮原が押し潰してカバーに入る。スミスも反転して押さえ込むがカウント2。スミスはカウンターでパワースラムを決めると、すぐさまブルドッグボムにつないで3カウントを奪った。
破竹の4連勝となったスミスはマイクを手にするとカーニバル制覇をアピールし、観客とともに「1、2、3、アイ・ラブ・ゼンニッポン!」の雄叫び。一方の2敗目を喫した宮原は、「ユーは俺のライバルだ」とスミスへの特別な感情を明かすとともに、次戦の吉田戦に向けて頭を切り替えると、「ラッパーなのか、プロレスラーなのかハッキリしてもらおうか」と挑発するように言葉を投げ掛けた。

<バックステージコメント>
スミス「ハードな試合だったけど、最高の結果を得られた。宮原は本当にタフな相手だった。でも、ファンが少しだけ力をくれた。俺に最高の剣をくれた。まるで宮本武蔵のようだった。何本の剣を持っているかは大事なことではない。一番鋭利な剣が勝利に導く。とにかくトップに立ちたい。今日みたいにブルドッグボム、ダイビング・ヘッドバットを食らうのは誰だ? アイ・ラブ・ゼンニッポン! 宮原、ありがとう。本当にタフだった。第3ラウンドはいつでもいいぜ。また闘おう。アリガトウゴザイマス」
宮原「これで2敗目か、2敗目…クソッ。スミスとの一戦はな、俺にとっては特別なんだ。1年前、このチャンピオン・カーニバルの優勝決定戦に進むヤツを決める舞台で、プロレス界の『ALL TOGETHER』が日本武道館でおこなわれ、ここ後楽園でスミスと闘ったとき、俺はいろんなものと闘っていた。だからアイツと向き合うと、そのときの俺のハングリーな精神が呼び戻される。ただ、負けは負けだ。スミスかぁ。しょうがない、アイツはプロレスラーになるために生まれた男だ。ただな、俺もそうなんだ。プロレスラーになるために、生まれてきた男だ。だからアイツと目が向き合えば、いい試合になるのはもちろん、プロフェッショナルレスリング、それで競うんだ、アイツとは。これからもだ。ユーは、俺のライバルだ! 2敗目はしょうがない。次は…シャラップ! シャラップ! おい、オマエだ、ドラゴンゲートの吉田隆司。オマエはラッパーなのか、プロレスラーなのか、そろそろ26日、名古屋でハッキリしてもらおうか。ラッパーなのか、プロレスラーなのか。ラッパーなら名古屋でラップを歌いながら入場するぐらいの意気込みを見せてみろ。オマエのラップを徹底的に調べ上げる、名古屋までに。シャラップだ!」
<第7試合>
チャンピオン・カーニバルAブロック公式戦 30分1本勝負
斉藤ジュン vs 鈴木秀樹

カーニバル開幕戦となった前回の後楽園大会(4・9)では、メインで宮原健斗を下して幸先のいい公式戦スタートを切った鈴木秀樹が、現三冠ヘビー級王者の斉藤ジュンと激突。今大会のメインを巡ってのSNS上での投票中、秀樹はジュンに対して「チャンピオンがメインじゃないとおかしいんじゃねえのか?」と詰め寄るように挑発。一方のジュンも「投票が済んでいないヤツは、この俺、斉藤ジュンに投票しろ」とファンに呼びかけたものの、結果はメイン選出はならず、セミファイナルに落ち着いた。両者は昨年のカーニバルでも対戦し、ジュンが勝利している。
序盤の場外戦で両者が激しく打撃を叩き込み合う。秀樹が徹底してエルボーを叩き込み、ジュンをリングに戻すと、顔面、頭部を蹴りつけていく。ジュンは秀樹をとらえて、強引にボディースラムで叩きつける。ジュンはロープ際で体重をかけて秀樹を踏みつけていく。ジュンはさらに串刺しフロントキックから滞空時間の長いブレーンバスターと畳みかける。秀樹はジュンの突進を迎撃し、ぶら下がり式の首4の字固め。ジュンがエルボー、チョップを放つと、秀樹はエルボースマッシュを返す。ジュンがカウンターでフロントキックを放ち、チョークスラム狙い。秀樹は切り返してフロント・ネックロックで捕獲。しかし、ジュンは担ぎ上げてブレーンバスターで叩きつける。
続けてチョークスラムも、秀樹はカウント1で返す。サイコブレイク狙いは秀樹がこらえて、延髄斬りからツームストーン・パイルドライバー。さらに投げっぱなしドラゴン・スープレックスを放つが、ジュンもカウンターでスピアを決め、ジャックハマーもカウント2。ジュンは秀樹をコーナーに乗せて、ヘッドバットを放ってから雪崩式ブレーンバスターを決める。Dying Light狙いは秀樹が切り返して、カナディアン・ロッキーバスター。秀樹はジュンをコーナーに詰めて、相手の片腕をロックした上で、ボディーにエルボーを連打。ジュンも張り手を返して、ショートレンジ・ラリアット。ジュンに担ぎ上げられた秀樹は脱出すると、追走式のドロップキック。さらに四つん這いのジュンにエルボーを打ち下ろして、胸板を蹴り上げる。卍固めの体勢に入り、グラウンドで締め上げる。みずから技を解くと、スリーパーホールドで絞め上げて、ジュンがグッタリしたのを見てカバーに入り、3カウントを奪った。
試合後にマイクを手にした秀樹はジュンを呼び止めた上で「テメエじゃ、メインは務まんねえんだよ!」と後楽園2大会連続でメインから外れた三冠王者に対して痛烈な言葉を浴びせ、「俺が全日本プロレスの鈴木秀樹だ!」と開幕戦の宮原戦後と同様に堂々たるアピール。一方、昨年の王道トーナメント1回戦以来、約7カ月ぶりに敗北を喫したジュンは、「この借りは必ず返す」と感情をグッと抑えたように静かな口調で秀樹へのリベンジを誓った。
<リング上での秀樹のマイク>

秀樹「おい、待てや、三冠チャンピオン、オラ! こっち向け。テメエじゃな、メインは務まんねえんだよ。よく、覚えとけ。俺が全日本プロレスの鈴木秀樹だ! ありがとう!」
<バックステージコメント>
秀樹「三冠チャンピオン、斉藤ジュン、リングで言った通り、務まってないね。務まってない。前回の後楽園と同様、メインじゃない。もちろん対戦相手がいることだから、ボクの責任もあるけど、三冠チャンピオンが2大会連続、後楽園でメインイベントを務めない。務められない。これを本人がどう思うか。勝った、負けたじゃないですね、今日は」
ジュン「言い訳はしない。鈴木秀樹、この借りは必ず返してやる」
<第8試合>
メインイベント 10人タッグマッチ 60分1本勝負
斉藤レイ ライジングHAYATO 青柳亮生 田村男児 長尾一大心 vs 大森北斗 MUSASHI 井上凌 羆嵐 エーグル・ブラン


今大会ではメインの対戦カードをファンに委ねる形で、4月18~22日の正午を締め切りにSNS上での投票を実施。各選手が熱心なアピールをおこなった中、最終的にカーニバル公式戦ではなく、ヘビーとジュニアヘビーの選手が入り交じった10人タッグマッチが異例のメインカードとなった。投票期間中、大森北斗を中心に“女装”を示唆(!?)するなど盛り上がりを見せ、さらに長尾一大心はデビュー半年で初の“後楽園メイン”登場となった。
先に入場の北斗組は、全員がメイド服姿で登場。一方の相手チームも各々のコスプレで出てきたが、田村男児、斉藤レイは通常の格好で登場。試合前にマイクを手にした北斗が「たくさんの投票、ありがとニャン」とかわいく言い放つと、レイは冷静に張り手を見舞い、そのまま開始のゴングとともに場外戦になだれ込んだ。ようやくリングに戻ると、レイは北斗、MUSASHIを徹底的にいたぶる。その後、井上凌と北斗が激しくエルボーを見舞い合い、エーグル・ブランは華麗な空中技を披露。ブランと対峙したレイはコーナーに詰めて逆水平チョップ連打。パワーに押されたブランはスワンダイブ式ニーアタックを叩き込んで羆嵐にタッチ。羆嵐はレイにセントーン。さらに北斗との合体攻撃を決めると、レイの髪型をツインテールにするという屈辱的な行為。レイは怒りのままに北斗を突き飛ばし、羆嵐にはクロスボディーアタック。レイがツインテールをほどくと、場内からブーイング。
羆嵐は隙を突いてレイをアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げ、後方に叩きつける。それぞれタッチで長尾とMUSASHIの攻防。長尾がドロップキック、619、さらにミサイルキックと畳みかける。MUSASHIは低空ドロップキックで長尾の動きを止めると、自軍全員でトレイン攻撃。MUSASHIのエストレージャフトゥーロは長尾がかわし、羆嵐もリバースのブレーンバスターで投げ飛ばして大歓声を受けながら亮生につなぐ。MUSASHIに5人でトレイン攻撃を見舞い、亮生がコーナーに上るも、ブランがカットに入り雪崩式スパニッシュフライ。両チームの選手が入り乱れた中、リング上は亮生とMUSASHIが1対1。MUSASHIが攻勢に出るも、亮生はエストレージャフトゥーロをカウント2で返し、HAYATOのアシストを受けると、最後はファイアーバード・スプラッシュを決めて、現世界ジュニアヘビー級王者から3カウントを奪った。
思いがけぬコスプレマッチを制した亮生は試合後にマイクを手にすると、ジュニアリーグ戦の開催をぶち上げる。ヘビー級の祭典であるカーニバル中にジュニアヘビー級として猛烈な主張を見せると、最後は「プルス・ウルトラ!」で大会を締めた。
<リング上の亮生のマイク>

亮生「(「アツキ」コールに対して、しなを作った声色で)みんな、ありがとう。と言うのも、ここまでだ。(声色を通常に戻して)とにかく今日、ご来場いただいた皆さま、ご視聴いただいている皆さま、ありがとうございました。そして、この10人タッグマッチをメインイベントにしてくれた皆さま、ありがとうございました。そして、このカードがどうしてもイヤだった人たち、いかがだったでしょうか?(場内から拍手とともに「最高!」の声が飛ぶ)ありがとう! でも、まだまだまだまだジュニアヘビー級の俺たちは、まだまだまだまだ見せられてないところがいっぱいあるんだ。見たいだろう?(場内から拍手) ということで、ジュニアだけのリーグ戦を開きたいと…会社に聞きたいと思います。いかがでしょうかー! …ちょっとアポなしすぎて確認する人がいないので、発表は後日になると思いますが、青柳亮生は見せますよ。チャンピオン・カーニバル中ですけどこんなこともやり、ジュニアが主役の時がきたら、さらにさらに面白いものをお見せしますので、そのときは会場に起こしください。
ということで、プルス・ウルトラ締めをしたいと思います。去年丸1年休んでたし、説明します。ボクが『全日本プロレス、さらに向こうへ』と言いましたら、ピースサインを掲げながら、『プルス・ウルトラ!』と言ってください。それでは皆さん、ご起立ください。よっしゃ、行こうぜ、全日本プロレス、さらに向こうへ、プルス・ウルトラ!」
<バックステージコメント>
亮生「正直、この格好をするに至るまでの、ヘビー級の大森北斗の手によって、このメインに辿り着いたというのは否めません。ただ、ジュニアヘビー級の選手がメインに相応しくないわけがない!というのを、今日証明できたと思うので。次が本番だと思ってます。ジュニアのリーグ戦、勝手に開けって言いましたけど、あの反応見てもらったらわかるでしょ? 全日本さん、やらせてください。いまなにもない青柳亮生がすべてをかっさらって、全日本プロレスの中心にまた返り咲くところをお見せしますので、皆さま、楽しみにしていてください」
レイ「まあ今日、公式戦じゃねえけど、10人タッグをメインでやって、あの10人タッグをやって、いまなんか3連敗でちょっと悩んでたけど、クヨクヨ悩んでいるのはバカバカしくなってきたな。まあ、こうなったら開き直って、俺らしく残りのチャンピオン・カーニバル公式戦、やるだけだ。そもそも俺は、俺がまだ優勝できねえなんて、これぽっちっも思ってねえからな。残り全部しっかりと勝ってやるぜ、楽しみにしてろ、フゥー! 今日はもうお腹すいたからな、ビール飲んで、なんかつまもう。ハイボールでもいいな。あれうめぇからな。唐揚げとハイボール、ヨシ!」
HAYATO「これがファン投票で1位になった、俺たちの試合。これがいま俺たちができる全力のこと。この格好を見て、ふざけてるって思うかもしれないけど、ふざけてないよ、いたってマジメ。俺たちに求められてることを全力でやったから。みんな、楽しんでくれてよかったよ。Let’s Punk」
長尾「今日は後楽園初のメインイベントに立たせてもらいましたが、これはファン投票。お客さんの意見であって、10人タッグっていうことで10人分の票があったりで多少有利なところがあったかもしれない。でも、次ボクがメインイベントに立つときは己の力で、先輩たちを差し置いてメインイベントのリングに立ちたいと思います! ありがとうございました」
田村「えー、メインイベントは10人タッグになりましたが、こうやってファンの民意というか、思いで、SNSで投票してくれたこと、ありがとうございます。ただボクはやっぱり、締めるところは締めないといけないと思っているので。ボクは変わらず田村男児としてやっていくつもりだし、これからもやっていくつもりだし。それがこれからの全日本プロレスのタメになると思っているし、ボクはボクでやっていきます。ジュニアはジュニアで変わらず、チャンピオン・カーニバルがある中でジュニアがどんどん目立っていく。そうやってやっていきます。ありがとうございました」
北斗「むー子、大丈夫? もう、バカ!」
羆嵐「張り切り過ぎよ、アンタ」
MUSASHI「ごめんなさい…」
北斗「でも今日、これだけ言えるわ。男は根性、女は愛嬌! じゃあ、オカマは? 最強よ」
羆嵐「アンタそんないいこと言って、鼻毛出てるわよ。でもなんか今日、どうですか、これ?」
北斗「どうですか、とか言わないの、コメントで。そういうとこよ」
羆嵐「いいチームワークだったんじゃない?(北斗からスカートをたくし上げられて)やめなさい、そういうの、ハレンチな!」
北斗「帰るわよ!」
羆嵐「むー子、あんたちょっと反省しなさい」