「チャンピオン・カーニバル2025」5月6日(火・祝)後楽園大会詳報&試合後コメント 全日本プロレス

「チャンピオン・カーニバル2025」5月6日(火・祝)後楽園大会詳報&試合後コメント

ニュース

<第1試合> 
6人タッグマッチ 20分1本勝負
青柳優馬 青柳亮生 長尾一大心 vs マイク・D・ベッキオ エーグル・ブラン ザイオン

 『チャンピオン・カーニバル』(以下、カーニバル)も残り4大会となり、今大会ではAブロック最終公式戦がおこなわれた。第1試合では青柳兄弟&長尾一大心がタッグを組み、カーニバル出場中の外国人トリオと対戦。なお、ザイオンは2勝6敗の勝ち点4で全公式戦を終えている。

 先発は亮生とブランで、握手を交わして攻防がスタート。ともにスピーディーで軽快な動きを見せて譲らず、それぞれ優馬とベッキオにタッチ。優馬は握手を求めるフリをして、ガットショット。ベッキオは強烈なフロントキックなどパワフルな攻めで圧倒する。優馬が相手チームにつかまる展開。防戦の優馬はザイオンにロックボトムを決めて長尾につなぐ。長尾はザイオンにドロップキック連発。ザイオンが倒れないと見るや、今度はミサイルキックを放って吹っ飛ばす。青柳兄弟も続けてミサイルキックを放つが、ザイオンは受け止めて倒れず。ならばと長尾がボディーアタックを放つがザイオンにキャッチされ、そのままデスバレーボムで叩きつけられる。長尾は丸め込みでザイオンに食らいついていったものの、フロントキックで動きを止められ、最後はスピアのエジキとなり3カウント。外国人トリオがそれぞれの持ち味を見せて快勝を挙げた。

<バックステージコメント>

亮生「一大心!」

優馬「大丈夫か? 次の北海道」

亮生「やり返せ!」

優馬「やり返せ」

亮生「オマエ、北海道だろ?」

優馬「地元だろ?」

亮生「初勝利して」

優馬「俺はチャンピオン・カーニバル、残り2戦、北海道でやらせてもらうんで。地元に帰った気分で凱旋締めしたいと思います。安齊勇馬倒して、本田竜輝倒して、たぶん決勝に行けるはず! 勝たせてくれ、俺を。応援よろしく」

亮生「親に言っといて、青柳優馬を応援してくれって、地元の人に」

長尾「ハイ! チャンカンのシリーズも残り3大会、絶対に初勝利しなきゃいけない、勝たなきゃいけない!」

<第2試合>
6人タッグマッチ 20分1本勝負
ライジングHAYATO 安齊勇馬 本田竜輝 vs MUSASHI 田村男児 井上凌

 世界ジュニアヘビー級王者のMUSASHIを筆頭としたジュニア勢がELPIDAトリオと対戦した。

 先発の安齊と井上がグラウンドの攻防で一歩も退かず。タッチを受けたHAYATOとMUSASHIはスピードに乗った攻防を見せて、場内を沸かせる。場外のMUSASHIにHAYATOが飛び技を放つと見せかけて、フェイント。リングに座ってアピールを見せるHAYATOの背中を井上が痛烈に蹴り上げて、ここからMUSASHI組が主導権を握る。防戦のHAYATOは田村に追走式ドロップキックを決めて、本田にタッチ。本田は田村に串刺しラリアット、スパインバスターなど勢いよく攻め立てる。田村は本田のラリアット狙いをかわして担ぎ上げるとブロックバスター。

タッチを受けたMUSASHIが本田に逆水平チョップ。「ヘビー級を投げるぞ!」と叫んでブレーンバスターを狙うが、本田に踏ん張られる。それでもヒザへのドロップキックから、さらに低空ドロップキックを放ち、再びブレーンバスターの体勢。ここも持ち上げることはできずに本田のラリアットも食らったが、MUSASHIはすぐに立ち上がって本田をとらえて、今度こそブレーンバスターで投げ飛ばすことに成功。その後、安齊が相手チームにとらえられ、連続攻撃のエジキとなる。安齊は井上にカウンターのドロップキックを突き刺すと、続けてダブルアーム・スープレックス。ギムレット狙いは切り返されて井上の反撃に遭うも、相手の突進をうまくかわしてHAYATO、本田のアシストを得るとジャーマン・スープレックス。井上も粘りを見せたものの、安齊のジャンピング・ニーで動きを止められ、最後はギムレットに撃沈。勝利を収めたELPIDAトリオは四方の客席にアピールをおこなった。

試合後、バックステージでMUSASHIがコメントを出していると、5・18大田区で世界ジュニアヘビー級王座に挑戦する吉岡世起が姿を見せ、王者からベルトをやんわりと強奪。呆然とするMUSASHIに対して「むーちゃんに必要なもの、俺、用意しとくから。楽しみにしてて」と言い残して、去って行った。

<バックステージコメント>

安齊「今日も俺の勝ち。これで名古屋から数えて、5連勝だ。次、北海道2連戦、斉藤レイ、青柳優馬、どっちにも俺が勝って、Bブロック首位せ優勝決定戦に進むぞ」

本田「次は北海道で、vsエーグル・ブラン! 見てたら、自分の身体能力だけでプロレスしやがって! 魂のプロレスを教えてやるぜ、叩き潰してやるぜ!」

HAYATO「チャンカンのこの期間、やっぱりヘビー級は生き生きしてるね。いまの俺はイキイキはしてないかもしれない。まあ、死んでもないけどね。やっぱりジュニア戦士はジュニア戦士として輝ける場所はジュニアリーグだ。早く決めて、早く発表して、全日本プロレス。よろしくね。Let’s Punk」

MUSASHI「後楽園ホール…」

吉岡「(急に割って入ってきて)ダメだよ、こんな金属(ベルト)付けちゃ。お腹、冷えちゃうよ」

MUSASHI「えぇ! せーちゃん!」

吉岡「またお腹冷えちゃうから(とベルトを奪う)。5月18日、大田区大会でのタイトルマッチ、むーちゃんに必要なもの、俺、用意しとくから。楽しみにしてて」

MUSASHI「せーちゃん、ベルト! せーちゃん、ベルトは返してくれよ!」

井上「あぁ、ELPIDA、ヤバいなぁ。どんどん追い越されてるな。クソ。チャンカンだろうけど、俺には俺なりの闘いがあるから。ジュニアリーグがあることを信じて、これからも闘い続けるよ」

田村「ボクはボクのやることを全うするだけなので。ボクはボクの仕事、やるべきことを全うするだけです。それと、別にこれからの対戦相手だけじゃなく、自分自身との闘いだと思うので、これから。そこでどうやって行くか、どうやってみんなをこうやっていくか、全うするだけです。以上です、やるだけです」

<第3試合>
チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
大森北斗 vs 綾部蓮

 ともに2勝3敗と、これ以上の黒星が許されない中での一戦。戦前、大森北斗は「身長しか取り柄のねえゴミ」と綾部蓮を罵倒すると、対する綾部も「オマエみたいなチビが偉そうな口を叩くな」と応戦。綾部が2m、北斗が177cmと23cmの身長差を引き合いに出して、挑発的に言葉をぶつけ合った。

北斗は身長差を崩すように、綾部のヒザにドロップキック。ボディースラム狙いは綾部が踏ん張り、逆に北斗を高々と持ち上げてマットに叩きつける。場外に出た北斗に対して、綾部はロープをまくら代わりに余裕のアピール。しかし、北斗は綾部の背後に回ってとらえると場外戦に引きずり込む。鉄柵攻撃狙いは綾部が切り返し、さらに場外マットにボディースラムで叩きつける。先にリングに戻った綾部は再び、寝そべってアピール。北斗がリングに戻ってきても、エルボーを受け流して、ボディースラムで叩きつけて逆エビ固めで締め上げる。

防戦の北斗は綾部のフロントキックをキャッチし、DDTを決めて反撃。ヒザへのドロップキックで綾部に片ヒザをつかせると、ブレーンバスターを狙う。これは決められずも、綾部のブレーンバスターをリバースして見事に投げることに成功。北斗はコーナーに上るも、綾部にとらえられデッドリードライブで投げられる。綾部は串刺しフロントキックからアイアンメイデンを狙うが、北斗はロープエスケープ。北斗はエルボー合戦でも引かずに渡り合い、ローリング・エルボーからバックに回る。そして、ドラゴン・スープレックスを放つが、カウント2。北斗のナルシストプレスは綾部がヒザ剣山で防御。場内の声援を背に北斗がスタナー。しかし、綾部はカウンターのドロップキックで北斗の動きを止めて、フルネルソンバスター。最後はデスルーレットで北斗の粘りを断ち切り、試合後はダウンする北斗を見下ろし、身長差をアピールするように両手を上下に広げた。

<バックステージコメント>

綾部「大森北斗、文句なしの3カウントだ。これが2m、綾部蓮と177cm、大森北斗との差だ。身をもって感じただろ。これで3勝目。3勝3敗、まだまだわかんないだろ、これで。対する大森北斗、そして別ブロックの北斗軍。これで全員、厳しいんじゃないのか? 恐らくな。しょせん北斗軍、今回欠場になってしまったサイラスがいなければ、結果も残せないそういうしようもないユニットなんだ。結果がすべてなんだ。まあ、今後も大森北斗、北斗軍。2mの恐怖を味わわせて、またぶっ潰しやるよ」

北斗「クソ。綾部、綾部、オマエのせいで俺の決勝リーグ進出は絶望的になってしまった。おい! 覚えとけよ! テメエがな、177cm以下になるまで、俺がテメエを付け狙うぞ」

<第4試合>
チャンピオン・カーニバル Bブロック公式戦 30分1本勝負
斉藤レイ vs 菊田円

 勝ち点8でBブロック首位タイの菊田円と、3連敗からの2連勝で巻き返しを見せている斉藤レイの公式戦。菊田はドラゴンゲート5・5名古屋大会でヒールユニット『Z-Brats』に加入し、ホームリングでの立ち位置を変えた中で勝負どころの終盤戦に臨む。

ロックアップからレイが押し込むも、体勢を入れ替えた菊田が相手の髪の毛を掴み、離れ際に逆水平チョップを放つ。レイもチョップを返して応酬となり、ショルダータックルの打ち合いはレイが制する。レイは菊田を挑発するように自身のお尻を叩いて挑発。コーナーに詰めたレイがチョップを狙おうとすると、菊田はツバを吐きかける。怒りのレイはチョップで菊田を倒し、さらにコーナーに後ろ向きにセットすると、お尻にダブルチョップを見舞う。場外戦でもレイが逆水平チョップを見舞っていく。菊田もチョップで意地を見せるが、レイは観客のタオルを奪って、それで菊田の首を絞めていく。その後も場外戦が展開された中、レイが鉄柱を背にした菊田にチョップを放つと、かわされて自爆。すかさず菊田はレイの腕を攻め、さらに鉄柵際の相手にヒッププレスを見舞う。菊田は観客が手にしていたレイの応援ボードを奪うと、それで一撃を加える。

リングに戻っても、菊田がふてぶてしくレイを攻める。しかし、ボディースラム狙いはレイに押し潰されて形勢逆転。レイは菊田の手首を掴んだ上で、逆水平チョップを見舞っていく。レイのヒップドロップはカウント2。突進をかわした菊田はぶちかましのようなタックルでレイをなぎ倒し、さらに強烈な逆水平チョップを連発する。レイの足を蹴りつけて片ヒザをつかせると、ヒップアタック。ラリアットを連発するも、レイは倒れず。逆にレイはカウンターでクロスボディーアタック。菊田もカウンターでジャンピング・ヒップアタック、さらにコーナーからダイビング・ヒップアタックを見舞うが、カウント2。逆水平チョップの激しいラリーとなった中、ロープに走った菊田は気合もろともラリアットでレイをなぎ倒す。さらにローリング・ラリアットを狙うも、レイは首元を押さえて突進を食い止め、強烈な張り手。ヒップアタックをキャッチしてバックドロップで叩きつけると、続けて強烈なアイスバインをぶちかまして3カウントを奪った。

レイは3連敗からの3連勝でついに星を五分に戻し、一方の菊田は勝ち点8で足踏みで、安齊、本田を含めた3選手が首位タイとなった。

<バックステージコメント>

レイ「勝ったぜ! これで巻き返したぜ! いや、なかなかのお尻、ケツだったな。いいパワーファイトだ。だが今日勝ったのは、この俺、斉藤レイだ! 次もこの俺のデケぇケツで相手してやるぜ、フゥー! まだまだ、これからだ。次は北海道で、大森北斗、そして安齊勇馬だ! もう優勝しか見えねえ、誰が来ようとぶっ倒してやるぜ、ホォー!」

菊田「昨日の試合は昨日の試合、今日の試合は今日の試合だ。全日本プロレス、なんてスケジュール組んでくれてんだ、この野郎。俺、昨日、金網マッチしてんだぞ。どんなスケジュール組んでんだ、全日本プロレス。一生恨むからな。孫の代まで…次の練習生の練習生の練習生ぐらいまで、俺が呪ってやるよ。寺か神社でも行って、お守りでも買っとけ。全日本プロレス、チャンピオン・カーニバル、(あと残り)2戦だ。菊田円、Z-Bratsの菊田円として戻って来てやるよ」

<休憩明け>

 休憩明けに、前回の4・23後楽園大会のメイン後に青柳亮生がアピールしたジュニアヘビー級のシングルリーグ戦『ゼンニチJr.リーグ戦(仮)』の開催がビジョンにて発表された。開幕戦は7・17後楽園ホール、最終戦(優勝決定戦)は8・3大田区総合体育館大会となる。

<第5試合>
チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
真霜拳號 vs 吉田隆司

 4勝3敗の勝ち点8で首位タイの4選手を追走する真霜拳號が、白星を得られないまま最終公式戦を迎えた吉田隆司と激突。真霜が今一戦に勝利し、鈴木秀樹vsデイボーボーイ・スミスJr、宮原健斗vs斉藤ジュンの2つの公式戦が無得点試合に終わった場合、勝ち点10で並んだ選手による決勝トーナメント出場者決定戦がおこなわれる。

 序盤、吉田が場外戦も駆使してペースを握る。セコンドの大森北斗のアシストもありつつ、ラフも交えながら真霜を攻め立てる。真霜も吉田のつかみどころのない試合運びを打ち崩して反撃態勢。しかし、吉田は得意の地獄突きを連発して相手に完全にペースを渡さず、CC2019(延髄斬り)、セントーンと畳みかける。苦しい展開の真霜はカウンターで吉田の腕を取り、ワキ固めから腕ひしぎ十字固め、さらに裏十字固めの体勢。そこから腕固めに移行して締め上げるが、吉田はロープエスケープ。真霜が強烈な蹴りを浴びせると、吉田は逆水平チョップで反撃。吉田はフロントキックを食らいながらも、後方に倒れ込んで真霜の急所を蹴り上げる。真霜の蹴りをかわすと、カウンターでパイナップルボンバー。これをカウント2で返されると、走り込んでこん身のパイナップルボンバーを叩き込んで真霜から3カウント。

吉田は最後の最後で価値ある1勝を挙げて、特異な存在感を見せたリーグ戦で有終の美。試合後、場内からも大きな「タカシ」コールが起こり、北斗軍メンバーで歓声に応えた。一方の真霜は痛恨の敗戦で、決勝トーナメント進出を逃した。

<バックステージコメント>

吉田「やりました! 1勝、1勝したぞ。この1勝は優勝と言ってもおかしくないやろ。針の穴に糸を通す他花師、見たか? オールジャパン、これからこの団体でそれなりのベルトを巻いてもいいんちゃうかなって、今日思った。これからも他花師に期待しといてくれ。釈羅不!」

真霜「アー、クソ! クソがっ! なんだよ、クソ! アァァ!」

<第6試合>
チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
芦野祥太郎 vs 羆嵐

 ともに決勝トーナメント進出の可能性は消失している両選手だが、デビュー団体『WRESTLE-1』での同期として激しく意識。2・9後楽園大会では互いのデビュー10周年記念試合で対戦し、芦野祥太郎がアンクルロックで羆嵐を下している。

 序盤から芦野が羆嵐の左足に狙いを定めて攻撃を仕掛ける。徹底した足攻めで羆嵐が苦悶の声を上げる中、試合を終えたばかりの吉田も北斗とともにセコンドに付いて、ゲキを飛ばす。防戦の羆嵐は芦野をロープに振り、カウンターのクロスボディーアタックで反撃。続けてダイナミックなセントーンを決め、芦野を担ぎ上げるとブロックバスター、続けてセカンドコーナーからのダイビング・セントーンと畳みかける。さらに、アルゼンチン・バックブリーカーで締め上げ、そのまま後方に叩きつける。

防戦の芦野は羆嵐のバックに回ると、ハイブリッジのジャーマン・スープレックス。ダウンカウントが数えられ、ともに8で立ち上がる。エルボーのラリーから、バックエルボーの打ち合い。芦野はカウンターでジャンピング・エルボースマッシュを放ち、ジャーマン・スープレックスを連発するも、羆嵐はカウント2で返す。芦野はなおもジャーマン・スープレックスを3連発で決めるが、カウント2。素早く芦野はアンクルロックで捕獲。羆嵐は必死に脱出を試みるが、芦野は決して手を離さずに締め上げる。羆嵐は芦野の顔面をわし掴みにして荒っぽくアンクル地獄から脱出すると、ラリアット、ショットガン・ドロップキックと畳みかける。埼玉に乾杯!をカウント2で返されると、トップコーナーからダイビング・セントーンをヒットさせて、宿敵の芦野から3カウントを奪った。

羆嵐が2月の一騎打ちの借りを果たして4勝4敗の五分の星、一方の芦野は3勝5敗と負け越しで今年のカーニバルを終えた。

<バックステージコメント>

羆嵐「ハァー! おい、オマエには負けられねえんだよ、芦野祥太郎。オマエにだけはな、負けたくねえんだよ。おい、俺たちのプロレスをよ、この全日本プロレスのファンは心と目に焼きつけたよな。おい、オマエも俺もよ、全日本プロレスの生え抜きじゃねえけど、間違いなくアイツにも俺にもよ、(プロレスLOVEポーズを作って)プロレスLOVEの血が流れてるんだよ。この王道でよ、全日本プロレスで、あえて名前は出さねえけどな、俺たちがいる限りまだ終わってねえんだよ。芦野祥太郎、いやアッシー、今日はありがとう。(引き揚げながら)足首折れてます、これ。折れてます」

芦野「負けだ、負けた。一番負けたくねえ相手に負けた。これで今年の成績は1勝1敗だな。2月のメモリアルマッチでは俺が勝ってんだから、1勝1敗だ。まだ続きあんだろ。2本先取だ、2本先取。チャンカンも負け越しだ、クソ、2年連続! どうしたらいい? どうしたらいい? 誰も教えてくれねえよな。自分で見つけるしかねえんだよ、この全日本プロレスで。クソ、ありえねえな、負けばっかり許して。絶対変えてやるよ、俺自身で変えてやるよ」

<第7試合>
チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
鈴木秀樹 vs デイビーボーイ・スミスJr.

 ともに勝ち点10で、勝者が決勝トーナメント進出を決める。両者のシングルは2度目となり、前回は2011年8月のIGF両国大会で秀樹がダブルアーム・スープレックスでデイビーボーイ・スミスJr(当時はハリー・スミス)に勝利。ともにビル・ロビンソンから指導を受けたことがあるという共通項を持ち、レスリングテクニックに磨きをかけてきた2人の約14年ぶりの一騎打ちとなった。

 開始早々からグラウンドを軸とした、じっくりとした攻防が続く。秀樹は巧みな身のこなしでスミスの腕を取り、足を取って倒すと、レッグブリーカー。スミスは秀樹をグラウンドに持ち込み、肩固めの要領で締め上げる。体勢を入れ替えた秀樹はモンキーフリップの要領でスミスを投げ飛ばすが、スミスはブリッジワークで形勢を立て直すと、グラウンドでフルネルソン、さらに秀樹の腕を取る。秀樹も腕を取り返し、キーロックでとらえる。そこから腕十字固めを狙うと、スミスは上体を起こして上になり、アームロックの体勢から腕十字固め狙いに移行。互いに切り返し合いを見せる中、スミスがスリーパーホールドで捕獲する。秀樹はロープエスケープし、場外に出て間を取る。

リングに戻ると、スタンドで組み合ったスミスが秀樹の首を決めていく。マヒストラルの要領での押さえ込みはニアロープ。再びスタンドに戻り、スミスがヘッドロックでグイグイと締め上げる。秀樹はスミスを持ち上げて、バックブリーカー。スミスはカウンターでパワースラムを決めて、フィッシャーマンズ・スープレックスもカウント2。秀樹の片足タックルを潰したスミスがパイルドライバーを狙うも、秀樹がリバース。秀樹がリング中央で卍固め。みずから技を解くと、延髄斬り。スミスは逆さ押さえ込みもカウント2。続けてスミスがレッグロールクラッチを狙うも、切り返した秀樹がヨーロピアンクラッチで押さえ込んで逆転の3カウントを奪った。

スミスとの至高の技巧戦を制した秀樹は、メインを控える宮原、斉藤ジュンに直接対決で勝利しているため、この時点でAブロック1位通過が決まった。

<バックステージコメント>

秀樹「首位、首位ですか? 首位通過。決勝戦を見すえてやったけど、やっぱり今日は今日で特別な試合だったので、勝ててよかった。(14年ぶりのスミス選手とのシングルだったが?)もう、記憶にないですよ。スミス、カモン!(スミスもコメントスペースにやって来る)。サンキュー、14年前だから。ありがとう!」

スミス「ドウモアリガトウ」

秀樹「(英語で)14年前。(日本語で)凄い体も大きくなって、いまの方が少しシェイプされて、強くなりました」

スミス「スズキと闘えたことに感謝します。彼とはビル・ロビンソンという共通の先生がいます。今日はロビンソンもこの会場のどこかで見てくれていたと思う。そして、友人のニシムラさん(西村修)も見てくれていたと思う。彼もクラシックなプロレススタイルでした。私は全日本がホームだと思っているし、ここに多くのお客さんを呼びたい。だから、なにか違うもの、心の底から最高だと思うもの、純粋なキャッチ・アズ・キャッチ・キャンを見せたかった。彼は本当にキャッチレスリングがうまくて、最後も勝ったと思ったら、いつの間にか私の背中がマットについていた。今日は彼の方が優れていて、残念ながら自分は負けてしまった。また近いうちに、すぐにでも闘いたい」

秀樹「(英語で)ノー、スーン!」

スミス「ダメ、スグ、アシタ!」

秀樹「ノー、ネクスト・イヤー!」

スミス「また来週やりましょう」

秀樹「ありがとう」

スミス「アイ・ラブ・ゼンニッポン!」

<第8試合>
メインイベント チャンピオン・カーニバル Aブロック公式戦 30分1本勝負
斉藤ジュン vs 宮原健斗

 セミファイナルと同様、勝った方が決勝トーナメント進出を決めるAブロック最終公式戦。引き分けの場合は時間無制限で両者による延長戦、仮に両者無得点の場合は2選手に直接対決で勝利しているスミスJrがAブロック2位通過となる。両者のシングルは4度目となり、記憶に新しい3・29大田区大会では斉藤ジュンが宮原健斗を下して、三冠ヘビー級王座の防衛に成功している(通算は宮原の2勝1敗)。

序盤から場外戦も交えて派手にやり合い、ジュンは観客が手にしていたタオルを手にして、宮原の首を絞める。リングに戻ってもジュンが攻勢に出る。防戦の宮原は低空ドロップキックを起点として反撃態勢。ジュンの串刺しフロントキックを食らってもグイッと前に出て、エルボーを返す。ジュンも強烈な一撃を返すと、エルボーの応酬となる。宮原がフロントキックから再びジュンに突進。ジュンは突進を食い止めると、チョークスラムで叩きつける。ブレーンバスター狙いは宮原が丸め込みで切り返す。カウント2で返された宮原は素早くスネークリミットで捕獲する。ジュンはどうにかロープエスケープ。ジュンをコーナーに乗せた宮原が雪崩式ブレーンバスターを狙う。しかしジュンが阻止し、逆に雪崩式チョークスラムで叩きつけるが、宮原はカウント2で返す。

ジュンが張り手からDying Lightを決めるがカウント2。宮原はカウンターのラリアットでジュンをなぎ倒し、シャットダウン・スープレックスの体勢。逃れたジュンがショートレンジ・ラリアットからジャックハマーもカウント2。ジュンのサイコブレイク狙いを切り返した宮原がブラックアウト。しかしジュンもすぐにスピアを返し、両者ダウン。カウント6で立ち上がり、ジュンがDying Light。さらにDays Goneを狙うが、宮原が切り返す。ジュンのサイコブレイク狙いを切り返してバックに回った宮原がシャットダウン・スープレックスを狙う。これは脱出されるも、すかさずジュンにスタンド式ブラックアウトを叩き込み、最後はついにシャットダウン・スープレックスを決めて3カウントを奪った。

Aブロック2位通過を決めた宮原はリングアナウンサーにBブロックの星取り状況を確認するも、可能性を残している選手が多いことに気づくと「もういいよ!」と理不尽な対応。気を取り直すと、観客に「誰が優勝することを望みますかー!」と問いかけ、満場一致の「ケント」コールを受けた上で、堂々の優勝宣言をおこなった。“最高男”が2年連続3度目のカーニバル制覇に向けて、勢いを加速させた。

<試合後のリング上での宮原のマイク>

宮原「これが、宮原健斗だ! そして、今日勝ったことにより、決勝トーナメント進んだぞ。おい、俺は詳しく、誰が何点とかわかってないんだよ。おい、リングアナ、Aブロックは俺と誰が勝ち進むんだ?(新土リングアナが「鈴木秀樹選手と宮原健斗選手です」と答える)じゃあ、Bブロックはいまどんな状況だよ? 可能性のある選手を挙げろって言ってんだよ!(新土リングアナが選手名を挙げていくと)多すぎる、もういいよ! 多いよ! なんとなく分かったよ。(観客に向かって)おい、後楽園、アナタ方はなんとなく分かってるのか、Bブロックの状況? そんなこと各自で調べろよ! 関係ねえ、俺に。ということで、紛れもなくAブロック代表はこの俺だ! そして今週、土曜日、日曜日の札幌大会により、Bブロック(代表)が選ばれるということで、そして5月18日、優勝決定戦の舞台に進むぞ。ここで後楽園ホールの皆さんの正直な声を聞きたい? 5月18日、大田区総合体育館で誰が優勝することを望みますかー!(観客が「ケントー!」と叫ぶ) 正直な声を聞かせてくれ! 正直な声を聞かせてくれ!(「ケント」コールが起こる)満場一致で宮原健斗です。そうしたら次は5月18日、大田区総合体育館、みんな準備できてるのかよ? 次は5月18日、大田区総合体育館で、最後に立っているのはこの俺だ。最後に後楽園ホールの皆さんに聞きたい。全日本プロレス、最高ですかー!(「最高!」の声)後楽園ホール!……最高」

<バックステージコメント>

宮原「ヨッシャー! 勝ち進んだぞ。今日、勝ち進むことが一番大事なことだからな。5月18日、さぁ、優勝決定戦の舞台に必ず進み、最後に立つ、この俺がな。プロレスファンよ、正直な声を聞かせてくれよ。俺がファイナルの舞台にいないと面白くねえだろ? これはファンもマスコミも会社もそうだ。この俺が5月18日、大田区総合体育館で、宮原健斗という最高のプロレスラーが、『チャンピオン・カーニバル2025』必ず優勝を勝ち取るぞ。プロレスファン、準備しとけよ! ヨッシャー!」

ジュン「宮原健斗……俺はこんなところでは立ち止まるわけにはいかないんだ」