「スーパーパワーシリーズ2025」6月1日(日)仙台大会詳報&試合後コメント 全日本プロレス

「スーパーパワーシリーズ2025」6月1日(日)仙台大会詳報&試合後コメント

ニュース

“春の祭典”チャンピオン・カーニバル2025の激闘を終え、仙台サンプラザホールでのビッグマッチでは、三冠ヘビー級選手権、世界タッグ選手権、世界ジュニアヘビー級選手権、豪華三大タイトルマッチが開催された。

〈第1試合〉
シングルマッチ 15分1本勝負
鈴木秀樹 vs 他花師

オープニングマッチに出場予定だった長尾一大心は、怪我のため今大会を欠場。鈴木秀樹の対戦相手は、DRAGONGATEの吉田隆司改め他花師(たかし)に変更となり、バカの時代vs北斗軍という構図となった。他花師は、6.15京都大会でGAORA TV王者・宮本裕向への挑戦が決まっている。

6年ぶりのエントリーとなったカーニバルで独特な存在感を発揮した他花師は、ゴング前からリングインした秀樹を威嚇。ロープに押し込むと攻撃を加えずに離れて紳士的なお辞儀を見せる。クリーンファイトをアピールして握手を求めると、隙を見せた秀樹に地獄突き。場外に逃げた秀樹を追いかけて、客席や会場ロビーにまで飛び出し、激しくやり合う。場外戦で体力を消耗した様子の他花師だったが、リングに戻ると、鼻水を飛ばしてテーピングでチョーク攻撃。さらに「全日本こんなもんか!」と罵って顔面を踏みつける。巻き返しを図る秀樹は、ぶら下がり首4の字で締め上げてダブルアーム・スープレックスの体制。逃れた他花師は、地獄突きの乱れ打ちからチャンピオン・カーニバル2019(延髄斬り)をズバリ。セントーンを投下すると、再び地獄突きを連発して追い詰める。しかし、たっぷり溜めて放った一発はコーナーに突き刺さり苦悶の表情。すかさず秀樹がインディアンデスロックで捕獲する。下からも突いて抵抗した他花師だが、秀樹は足を固めたままフロントネックロック。さらに指まで極めるアームロック(返り討ちの湖)に移行して技あり勝利となった。

〈バックステージコメント〉

秀樹「なに?なにあれ?すごい人気だった…、これ(地獄突きで真っ赤になった喉元を見せる)他花師、反則。返り討ちの湖!」

他花師「シャラップすぎるな。シャラップすぎる秀樹。指は確か反則ちゃうんか。確か指持ってたアイツ。オイ!反則の湖!せっかく、このベルト(全日本プロレスTV認定6人タッグ)獲ったとたんに負けるとは。秀樹なかなかシャラップな男やな」

〈第2試合〉
タッグマッチ 20分1本勝負
デイビーボーイ・スミスJr. 黒潮TOKYOジャパン vs ジャック・ケネディ 愛澤No.1

デイビーボーイ・スミスJr.がプロレスリング・アップタウンの黒潮TOKYOジャパンと異色のタッグを結成して、北斗軍のジャック・ケネディ、愛澤No.1と対戦した。

久しぶりの参戦となる黒潮は、ファンと触れ合いたっぷり時間をかけて入場。福山雅治の『HELLO』がフルコースで流れてもリングインせず、2まわし目でようやくリング内で選手コールを受け、パートナーのスミスJr.を迎え入れた。じゃんけんに勝って先発となった黒潮は、コーナー上で倒立パフォーマンス。独特な間合いで相手のペースを乱していくが、ケネディもジャケットパンチを回避して誇らしげにポーズを決める。最強外国人・スミスと対峙した宮城県塩釜市出身の愛澤は、「本日はご指名ありがとうございました!」と握手を求めたが、桁違い握力に悲鳴を上げバックドロップをくらってしまう。止まらないスミスはパワースラムから黒潮を持ち上げて大の字となった愛澤に叩きつける合体技を披露。ローンバトルが続いた愛澤だが、師匠・菊地毅直伝のゼロ戦キックで応戦していく。黒潮とケネディの対戦。チョップをくらった黒潮は、ジャケットを逆に着て胸をガード。がら空きの背中をひっぱたかれブロックバスターで投げ捨てられたが、脱いだジャケットで叩いてやり返した。北斗軍がツープラトンを狙うと、スミスがダブルのクローズライン。黒潮はスワントーンボムの援護弾から愛澤を羽交い絞めに。スミスに「You sayしっかり持っとけよ!」とレクチャーしたが、「シッカリモットケヨ!」と叫んだスミスの顔面蹴りは誤爆。構わずスミスはシャンパンエルボー、シャンパンボンバーで前に出た愛澤を返り討ちにすると、一撃必殺のブルドックボムで豪快にスリーカウントを奪った。

〈バックステージコメント〉スミス「ダイジョウブ?覚えていますか?」

黒潮「ノープロブレム。アイム・ハッピー!」

スミス「ニホンゴベンキョウシテマス。ベンキョウスルマイニチ。アイムソーリー。ゴメンナサイ」

黒潮「アイ・ワナ・ティーチ・ユー・ジャパニーズ。AJPW・アイム・カムバックヒア!」

ケネディ「愛澤さんごめんね。今日初めての仙台、もっともっと頑張りたかったけど…」

愛澤「OK。でもね、負けたけどオレは死んでねぇよ。オレはまだまだ動けるよ。こんだけデカい相手とやって、まだ壊れちゃいないよ。絶対にバカの時代と北斗軍の終末ラグナロク、次は今日の借り、オレもやれるっつうのを絶対に見せてやるよ」

ケネディ「自分ももっともっともっと強い。バカの時代と戦う。頑張ろう」

愛澤「オレは北斗軍のお荷物じゃねぇぞ。やってやるぞ!」

〈第3試合〉
6人タッグマッチ 30分1本勝負
MUSASHI ライジングHAYATO 井上凌 vs 青柳亮生 阿部史典 立花誠吾

MUSASHI&ライジングHAYATO&井上凌vs青柳亮生&阿部史典&立花誠吾、7月に開幕するジュニアリーグを見据えたジュニア戦士の6人タッグマッチ。安齊勇馬とのコンビでアジアタッグ王座を保持するHAYATOは、5.18大田区大会でマイク・D・ベッキオ&エーグル・ブランの挑戦を退け、6度目の防衛に成功。6.15京都KBSホール大会では、青柳兄弟を迎え撃つ防衛戦が決まった。

アジアタッグの前哨戦としても注目を集めた一戦は、HAYATOと亮生の対戦でスタート。HAYATOが強烈なチョップを打ち鳴らし、ハイスピードバトルに発展。バク宙からPUNKポーズを決めると、負けじと亮生もアクトバティックなハンドスプリングからお株を奪うPUNKポーズを見せた。世界ジュニア陥落から再出発となったMUSASHIは、立花と熱戦を展開。赤コーナーサイドが孤立した立花を代わる代わる痛めつけていく。ド根性で流れを変えた立花はヤンキーカッター。飛び込んだ阿部が連携を切り崩して、HAYATOに延髄斬り、井上にはドラゴンスクリュー。MUSASHIへのPKは空を切り、ドロップキックを被弾。阿部を踏み台にしたHAYATOがコーナーに控えた亮生にドロップキック。スワンダイブをかわした阿部は、フランケンシュタイナーを決めて亮生にチェンジする。再びアジアタッグ戦を控える2人の直接対決。目まぐるしい攻防からHAYATOがドロップキック、亮生が旋風脚を叩き込んでもファルコンアローで突き刺す。MUSASHI組は亮生に集中砲火。MUSASHIがノータッチ・トペ・コンヒーロで分断して井上に勝負を託す。井上はレッグラリアットからバックドロップ。カウント2で返され大観音スープレックスを狙ったが、亮生が逃れてロコモーション式フィッシャーマンズ・スープレックス。一気にファイヤーバード・スプラッシュで畳みかけ、白熱のジュニアバトルを制した。アジアタッグ獲りに弾みをつけると、ベルト獲りのジェスチャーでチャンピオンを挑発した。

〈バックステージコメント〉

亮生「ジュニアリーグの開催もそうですが、青柳亮生はまず、6.15京都でアジアタッグ選手が控えています。アジアを獲り、ジュニアリーグ優勝し、世界ジュニア、これが青柳亮生の…真夏の大作戦みたいな感じです。まずは京都だ。アジアタッグ巻いてジュニアリーグ出場しますのでお楽しみに」

立花「久しぶりだな、この野郎、アーン。このあいだの大田区以来、チャンカー以来だな。まぁまぁいいよ。7月、ジュニアのリーグ戦やるらしいな。おぉう、いるわ(阿部がやって来る)オマエ血止まったか?」

阿部「血止まった?」

立花「オマエ、ムチャクチャ血止まってるな」

阿部「ムチャクチャ血出てたんだよオレ。何しゃべってたんだよオマエ?」

立花「言いたいことはひとつ。ジュニアでもデカいヤツが勝つんだよ。今日リングの中見てたか?オレが1番デカかっただろ」

阿部「オマエ来る前、何か食ったか?」

立花「食った」

阿部「何食ったんだ?」

(たまたま居合わせた黒潮が横から)「ゼッテリア、ゼッテリア、ゼッテリア食った!」

立花「お前言うな!オメエ居たのかよ」

阿部「ファストフードじゃねぇか!」

立花「ハンバーガー3つとチキン5個。デカいは強いだろ、この野郎!」

黒潮「あいつハンバーガー1個しか食ってなかったぞ」

立花「おいバカ、1個半だよコノヤロー」

阿部「うるせぇな、やるぞ、勝つぞ!」

HAYATO「久しぶりに亮生と戦ったけど、亮生と一緒に挑戦して獲れなかった、このアジアタッグ。別にパートナーが悪いとは言わない。今のパートナーが良いとも言わないし。でもひとつだけ言えるのは先に巻いたのはオレってこと。このベルトを持ったままジュニアリーグ優勝するよ。Let’s Punk」

MUSASHI「大田区でベルト落としましたけど、これで終わりじゃないんでね。MUSASHIはここから再浮上します。ジュニアリーグもあるんでね、ここから這い上がるぞ、オレは」

井上「なにやってんだオレ…、2025年も半分終わったって言うのに。ジュニアリーグも、もしかしたらエントリーされるかもしれないって言うのに。このままだと終わるぞ…、ガムシャラに行くわ、以上」

〈第4試合〉
ELPIDA vs 北斗軍 6人タッグマッチ 30分1本勝負

安齊勇馬 本田竜輝 綾部蓮 vs 大森北斗 羆嵐 タロース

北斗軍は5.18大田区大会で、バカの時代から全日本プロレスTV6人タッグ王座を奪還。カーニバルの公式戦で綾部蓮に敗れたリーダー大森北斗は、対綾部の秘密兵器としてXならぬ“XXL”を仙台大会に投入することを予告していた。

ELPIDAの安齊勇馬、本田竜輝、綾部が入場すると、北斗は「オイ綾部、相変わらずオマエ細長いな」と挑発し、「出てこいXXL!」と呼び込む。ワイルドな風貌の大男が入場ゲートから姿を現すと、トップロープをひと跨ぎしてリングイン。北斗が謎に包まれたXXLの正体を、身長2メートル13センチの大巨人・タロースと明かし、「北斗軍の巨神兵・タロースがここ仙台でELPIDAをぶっ潰してやる!」と宣戦布告した。

北斗軍の奇襲で開戦となり、大乱闘が繰り広げられると、2021年のデビューからアメリカを拠点に活動し、日本初上陸となるタロースが綾部を捕まえて大暴れ。北斗軍はゲスト解説を務めていた他花師まで介入させて、ラフファイト全開で主導権を握った。ローンバトルを強いられた安齊がドロップキックで突破口を切り開くと、本田と熊嵐が真っ向勝負を展開。本田がスピアを突き刺すと、綾部がエルボーを振り抜き、ランニング・ネックブリーカードロップ。羆嵐もアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ、サモアンドロップで叩きつけていく。北斗は北斗軍スペシャルをアピールしたが、羆嵐が北斗1人をパワーボムで叩きつける形になり失敗。ELPIDAが羆嵐への連続攻撃から綾部がフルネルソンボム。ドロップキックでやり返した羆嵐は、本田と安齊にもクロスボディを決めてタロースにスイッチ。タロースは1人で3人を相手にして豪快に蹴散らす。New Periodにクローズラインを叩き込み、綾部との一騎打ち状態になると、2メートル超え同士のエルボー合戦。タロースがカウンターのビッグブーツ。コスチュームのダブルショルダーを外して、リミッターを解除。綾部を高々と抱え上げて破壊力抜群のチョークスラムで完全粉砕となった。

タロースが衝撃のゼンニチマットデビューを飾ると、北斗軍のメンバーが集結して勝利のポーズ。強大な戦力が加わった北斗軍は、6.24新木場大会のバカの時代との最終決着全面対抗戦を控えている。バックステージで北斗は、6人タッグのベルトを懸けてタロース&ケネディ&愛澤と同門対決をおこなうことをブチ上げた。

〈バックステージコメント〉

北斗「オイ見たか!オイオイオイ遠近感がおかしくなっちまうよ。オレたちがチビみたいになっちゃうじゃねぇかよ。オレはデカさなんてものは認めないんだけど、ここまで圧倒的にデカかったらもう認めるしかない。それが2メートル13センチだ。オイ綾部!オマエ、タロースより13センチも低いのによ、今後デカいキャラとかやめろよ、だせぇから。そしてオレは今日こうして仙台に6人揃ったということで、ひとつ言いたかったことがあるんだよ。オレたちこうやってよ、6人タッグのベルトを持ってるけどよ、この3人だけ結束高めたって意味ねぇんだよ。オレたちは6月、新木場でバカの時代を壊滅させなきゃいけないんだから。そのためにオマエら3人も、もっと結束高めて強くなる必要があるよな。分かるか?いつまでもヘラヘラしてられねぇんだよ、北斗軍は。というわけでオマエら3人とオレたち3人でこのベルトを懸けてやる。オレたち3人とケネディ、タロース、愛澤No.1で6人タッグのベルトやってやる。場所は決まりしだい会社で発表されるから楽しみにしとけ。最後にタロース、日本のみんなに一言」

タロース「Arrived」

北斗「なんて?」

ジャック「着いた、日本に着いた」

北斗「Arrived、楽しみにしとけ!」

<バックステージコメント>

綾部「大森北斗、とんでもないヤツ、連れて来やがったな…」

安齊「大森北斗、どこで誰に訪ねようと、どう考えてもオレの方がカッコいいからな。そして次、京都か。アジアタッグvs青柳兄弟。オレとHAYATOさんが引退するまでこのベルトはオレたちが持ってるから、必ずオレたちが勝ちます」

本田「本物のXXLじゃないか!本物のXXLじゃないっすか!」

〈第5試合〉
世界ジュニアヘビー級選手権試合 60分1本勝負
【第71代王者】吉岡世起 vs 田村男児【挑戦者】

休憩明け時間の第5試合は、世界ジュニアヘビー級選手権試合。5.18大田区大会で盟友・MUSASHIとのむーちゃんせーちゃん対決を制し、12年越しの戴冠を果たした吉岡世起。激闘に胸を打たれた田村男児が即座に挑戦表明すると、吉岡は熱い想いに応えてタイトルマッチを受諾した。

クリーンな握手を交わして、いよいよ三大タイトルマッチが開戦。注目のシングル初対決は、じっくりとしたグラウンドの攻防から吉岡が一気にギアを上げると、男児は強靭な肉体で受け止めて徹底応戦。場外ダイブも決めさせず、パワーファイトでペースを握る。吉岡は男児がリングインしようとしたタイミングで強烈な顔面蹴り。一撃で流れを変えると、右腕へのピンポイント攻撃を仕掛ける。シザースキックを華麗に叩き込み、ラ・ケブラーダで宙を舞うと、リングに戻してスワントーンボムを発射。カウント2で返されたと同時に腕ひしぎ逆十字固めで捕獲する。怪力で解いた男児は、延髄斬りを食らいながらもサイドスープレックス。さらにはバックフリップ。10分経過。吉岡はファイナルカットで追撃を止めてバズソーキック狙い。蹴り脚を取った男児がパワーボムでコーナーに叩きつける。リング中央でもう一発狙ったが、吉岡が崩れ落ちて投げられない。引きずり起こした男児は、後頭部へのラリアット。何度もショートレンジ弾を見舞っていく。チャンピオンが腕へのオーバーヘッドキックを放つと、男児は痛みをこらえて右腕を振り抜きデスバレーボム。気合を入れ直して再びパワーボムの体制に入ったが、吉岡は切り返してカナディアン・デストロイヤー。気迫で食らいつく男児の顔面を容赦なく打ち抜いていくと、切れ味鋭いバズソーキックで執念を断ち切った。

第71代王者が防衛ロードの第一歩を刻むと、退場する男児を呼び止め人差し指を立てて再戦を約束。バックステージでは、「1つ乗り越えないといけない壁がある」と過去に逆指名を受けて世界ジュニアに挑んだ際の相手・土井成樹の名前をあげ、リベンジに闘志を燃やした。

〈バックステージコメント〉

吉岡「なんだ、あの打たれ強さ、そして力強さ。一撃の重みがジュニアの枠に収まらねぇよ。今日はさらになんだ気持ちが乗っていたのか、前に対戦したときよりも重く感じたよ。すげぇよ、すごいけど、まだまだこのベルトを手放すわけにはいかないんでね。まだまだ始まったばかりなんで、俺のゼンニチジュニア見せ続けていきますよ。そして、これ(ベルト)な。ゼンニチジュニア始めるために1個、1つ乗り越えないといけない壁があるよね。オレ、世界ジュニア1度逆指名されて挑戦して負けてるんだよ。土井成樹、オレともう一度やろうぜ」

〈第6試合〉
世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
【第100代王者組】宮原健斗 青柳優馬 vs 芦野祥太郎 ザイオン【挑戦者組】

宮原健斗と青柳優馬のビジネスタッグは、3.9後楽園ホール大会で史上最多連続防衛V8を記録した斉藤ブラザーズを破り、記念すべき第100代王者として名を刻んだ。対する芦野祥太郎とザイオンは、カーニバルの激闘で魂を共鳴させると、新チーム・HAVOC(ハボック)を結成して世界タッグのベルトに照準を定めた。

HAVOCの2人は目の下に揃いのフェイスペイントを施して登場。ザイオンはゼンニチマットでの初タイトルを獲得するべく、最高男・宮原相手に猛チャージ。芦野も続いて優馬を圧倒していく。初防衛戦となるチャンピオンチームは一瞬の隙をついて流れを変え、場外戦で激しい火花を散らす。王座獲りへ突き進むHAVOCは、宮原を孤立させて集中砲火。俵返しでぶん投げた芦野がストレッチマフラーで左足にダメージを蓄積させていく。宮原はカウンターのヒザでピンチを脱出。体力を温存していた優馬が一気に巻き返す。串刺しエルボー、トップロープからクロスボディ。フロントネックロックで絡みつきエンドゲームへ移行するが、芦野は完璧に決まる前にロープエスケープ。再びコーナーに上がると、芦野が追いつき雪崩式フロント・スープレックス。フォールを返されてもアンクルロックで締め上げ、優馬の動きを封じる。掟破りのアンクルロックで切り返した優馬は、強烈なラリアット。芦野もスクリューエルボーで引かない。宮原vsザイオン。宮原が低空ドロップキックから側頭部を打ち抜く。コンビネーションはザイオンがパワフルに阻止して、芦野と連携を決める。エルボー合戦から宮原がブレーンバスターをリバース。ブラックアウトからロープへ走ると、ザイオンがビッグブーツ。ダイブは優馬が足を引っ張って阻止して雪崩式ブレーンバスター。宮原にバトンを繋ぐ。健斗コールで復活した宮原は、一気にシャットダウン・スープレックスを狙ったが、芦野が救出に入る。ハカ式エルボーで優馬を返り討ちにしたHAVOCは、コンビネーション・ジャーマン。15分経過。ザイオンがラリアットで宮原に突っ込むと、コーナー最上段でハカのポーズを決めてダイビング・ヘッドバット。カウント2.9。強烈な連打からひねりを加えたサモアンドロップ。さらにザイオン・スピアを放ったが、かわされてコーナーに衝突。飛び込んだ優馬がロックスターバスターで突き刺すと、宮原がブラックアウトからシャットダウン・スープレックスにつなぎザイオンを仕留めた。

初防衛を飾ると、優馬はカーニバル開幕戦で敗れたDRAGONGATEの菊田円へ向けて、「このベルトに挑戦させてあげなくもないけど」と挑発的なメッセージ。菊田のパートナーについては「君が好きな選手を連れてきなさい」と上から目線で語り、宮原がチャンピオン権限で決戦の舞台を6.18後楽園ホール大会に指定した。

〈バックステージコメント〉

宮原「ビジネスタッグ初防衛成功だ。すげぇな、オレらビジネスタッグがこの仙台サンプラザで正真正銘の大仕事を初防衛を成し遂げたぞ。ザイオン、芦野、次また会えるのを楽しみにしてるよ。なかなかカッコいいチームだったぜ」

優馬「ザイオン、芦野祥太郎、またやってあげてもやぶさかではない。しかし!それはさておき、オイDRAGONGATEの菊田円!」

宮原「DRAGONGATE?どうしたの急に?」

優馬「オレはチャンピオン・カーニバルの開幕で負けています。DRAGONGATEの菊田円という男が全日本プロレスに上がってやるぞって言ってたんですけども、今日いないじゃないかオイ!」

宮原「今日いないんだ」

優馬「どうなってるんだオイ! せっかくこのオレ青柳優馬に勝ったんだ、第100代世界タッグチャンピオンの片方に勝ったんだから、このベルトに挑戦させてあげなくもないけど」

宮原「え、どういうこと?挑戦させてあげるってことなの?」

優馬「させてあげなくもない」

宮原「因縁があるわけだ、DRAGONGATEの菊田に」

優馬「一応ね!忘れてるかもしんないけど、オレは忘れないよ」

宮原「タッグで?どうすんの相手。でも1人でやるわけにはいかないでしょ」

優馬「誰か、君が好きな選手を連れてきなさい。このパートナーこそはという好きな選手を」

宮原「それどこでもいいの?団体は?団体問わない?」

優馬「どこでもかまいません」

宮原「え-!」

優馬「菊田円さえ来ればぶっちゃけDRAGONGATE外でもかまわない。DRAGONGATE内でもかまわない」

宮原「おーい!当事者だけど気になるー!」

優馬「そうだ!そのうち返事を聞かせてください」

宮原「舞台はどこ?」

優馬「分からないですけど、次どこでできるんだ」

宮原「決めようよ!6月やろうよ」

優馬「6月やっちゃいます?でもあれなんですよね、京都でアジアの挑戦決まってて…」

宮原「もう出てるもんね」

優馬「一応出てます」

宮原「出てないのは6月18日後楽園ホールだ」

優馬「あー、そこいいじゃないですか」

宮原「舞台決定すれば、100代オレらの権限で次の世界タッグは!6月18日だ!菊田円!」

優馬「と誰か!」

宮原「団体問わないぞ」

優馬「問わないぞ、かかってこい!」

宮原「用意しろ、用意しろ。オレらとやれるんだ」

優馬「このオレに勝ったんだ、かかってこい」

宮原「負けたんでしょ?テメーら!相当いい選手連れて来い!菊田円、オレからは以上だ」

優馬「よろしくお願いします」

芦野「センキューザイオン、センキュー。HAVOCの意味が分かるか。オレたちはな、この1回じゃ終わらないぞ。1回じゃ終われねぇ。NEXT!」

〈第7試合〉
メインイベント 三冠ヘビー級選手権試合 60分1本勝負
【第75代王者】斉藤ジュン vs 斉藤レイ【挑戦者】※チャンピオン・カーニバル2025優勝者

ゼンニチ仙台決戦を締めくくるのは斉藤ジュンvs斉藤レイ、史上初、兄弟による三冠ヘビー級選手権試合。兄・ジュンは昨年の暮れにスミスを撃破して三冠王座初戴冠。防衛ロードでは、安齊勇馬、青柳優馬、宮原健斗からベルトを死守した。弟・レイは、チャンピオン・カーニバル2025で、開幕3連敗からの大進撃で悲願の初優勝。兄も果たせていない春の祭典制覇を成し遂げると、ジュンへの挑戦を表明し、“三冠ヘビー級チャンピオンの兄vsチャンピオン・カーニバル覇者の弟”という究極の兄弟対決が故郷である宮城の地で実現することが決まった(宮城県角田市出身)。

2021年6月9日に同時デビューを果たした斉藤ブラザーズは、8日後でデビューからまる4年となる。兄弟シングル対決は今回で4度目。デビュー直後の2021年6月26日に実現した初の兄弟対決はジュン、2度目の対戦となる2023年大晦日もジュンに軍配。昨年4月の仙台大会、レイはチャンピオン・カーニバル公式戦で初の兄超えを果たした。

斉藤ブラザーズが同じ入場曲に乗って順に入場すると、2人が出演する宮城テレビ『OH!バンデス』のメインMCを務めるさとう宗幸さんが国歌斉唱。レイは髭をそり落として三冠戦に臨んだ。決戦のゴングが打ち鳴らされると、両者は感慨深げに互いの顔を見つめてからド迫力のロックアップ。ジュンがヘッドロックで捕らえると、レイがロープに振って大地を揺るがすような肉弾戦を展開する。打ち勝ったレイが突進すると、ジュンはエプロンに追いやってビッグブーツ。そのまま場外戦で優位に立ったが、今度はレイがロープ越しにタックルを決めて場外に弾き飛ばした。ジュンはレイの応援タオル、レイはジュンの応援タオルをファンから拝借して、チョーク攻撃を仕掛け意地を張り合う場面も。荒々しくチョップを放っていったジュンは、コーナーの鉄柱を背にしたレイを強烈なタックルをお見舞いしてサンドイッチ。リング上でもレイが主導権を握り早くもBBQボムの体制に入る。ジュンはリバース・スープレックスで返してビッグブーツを連発。エルボードロップを突き刺すとセクシーに束ねていた髪の毛を解く。串刺し攻撃を回避したレイが後頭部へラリアット。スリリングなコーナー上の攻防を制して雪崩式ブレーンバスター。叩きつけられたジュンもすぐに立ち上がりラリアットでなぎ倒す。両者ダウンとなり試合開始から15分が経過。両者一歩も引かずノーガードで打ち合う。ダブルチョップ、ビッグブーツのラリーから、エルボーを打ち込んだジュンがロープへ。追いかけたレイがブレーンバスターでぶっこ抜き、全体重を浴びせてボディプレス。BBQボムを決めさせないジュンは、相撲仕込み張り手からラリアット。ランニング・ニーを突き刺しサイコブレイクへ。嫌がったレイが頭突きを叩き込めば、ジュンもスピアで黙らせる。レイはクロスボディから先ほどのお返しとばかりに張り手、ラリアットを見舞ってBBQボムで勝負に出る。完璧に決まり誰もが試合終了と思った瞬間、カウント2.9でジュンがキックアウト。ならばとアイスバインを狙ったが、ジュンはビッグブーツ、ブレーンバスターを決めてDying Lightをズバリ。これでも3カウントは入らない。諦めないレイが闘争本能でアイスバインを放っても、ジュンは執念で2発目のDying Lightをブチ込み、ついに熱戦に終止符を打った。

限界を超えた兄弟喧嘩を制したジュンは、先に退場しようとしたレイを呼び止め、「プロレス誘ってくれてありがとう」と感謝の思いを伝え、リング上で握手を交わす。兄弟の絆で感動的なムードに会場が包まれたが、空気を読まずにリングに足を踏み入れた男がいた。チャンピオン・カーニバルでジュンを討ち取った鈴木秀樹だ。秀樹が「オマエの持っている三冠ベルトに挑戦はしない。オマエの三冠ベルトを獲り取りに来たんだよ」とベルト強奪を宣言すると、ジュンは「喜んで受けてやるよ。鈴木秀樹DOOM!」と受諾。勝利の余韻に浸る間もなく、次回タイトルマッチが決定的となった。

〈リング上のマイク〉

ジュン「レイに勝って三冠ベルトを防衛したぞ。レイ、ちょっと待て。オマエに言いたいことがある。リングに戻って来るんだ。オレはオマエに誘われてプロレスラーになった。それが今地元宮城、最高の舞台で戦うことができて最高の気分だぜ。レイ、プロレス誘ってくれてありがとう」

斉藤ブラザーズが握手を交わすと秀樹がリングイン。

ジュン「鈴木秀樹、この空気でよく出て来れたな」

秀樹「オレもそう思う。でもこれは世界中でもたぶんオレしかいない。裏で見ていて驚いた。すごい試合だったよ。それともう一個驚いた。オレは斉藤レイが勝つと思った。つい最近ブチのめされたからね。だけど、負けたばっかりで出てくるのもおかしいと思っただろ。それをやるのがオレなんだよ。もっとおかしいこと言ってやるよ。オマエの持っている三冠ベルトに挑戦はしない。オマエの三冠ベルトを獲り取りに来たんだよ。今答えを聞かせろ」

ジュン「鈴木秀樹、オレはチャンピオン・カーニバルでオマエに叩きのめされている」

秀樹「そんなことはどうでもいいんだよ。オレとやるのか、やらないのか、はっきり言えこの野郎」

ジュン「最後まで言わせてくれよ」

秀樹「獲ってやるから。今すぐYESって言え、この野郎。オマエのしゃべりなんか聞かねぇぞ。YESって言え。言わなかったら帰らねぇぞ」

ジュン「オマエやられたばっかじゃ。斉藤ジュンはカッコ悪いからな。オマエの挑戦、喜んで受けてやるよ。鈴木秀樹DOOM!」

両者がDOOMポーズで睨み合い、秀樹は退場する。

ジュン「鈴木秀樹はやっぱり曲者だな。もうひとつオマエらに言いたいことがある。プロレスラーという生き物は命懸けで戦っている。いろんな思いを背負ってこのリングで戦っている。今ここの場にいなくても命懸けで戦っているプロレスラーがいる。誰も欠けることなく全日本プロレスは命を懸けて戦うから、これからもよろしく頼むぜ。じゃあ、甘いものの時間といこう。オマエ(レイ)も一緒に乾杯しようぜ。オレのあれを持ってくるんだ」

レイ「ビールはねぇのか?」

ジュン「勝ったのはこのオレだ。オレが勝ったから好きにさせてもらうぜ。甘いもので乾杯だ。今日用意したのは、このあいだ『TAXIめし』でも行ったわらび餅専門店・わらび屋さんのわらび餅ドリンクだ。試合の直後だからな、ドリンクにさせてもらったぜ。オレはイチゴミルクだ。じゃあ乾杯だ。いただきます。めっちゃくちゃおいしい。とろとろのわらび餅がイチゴミルクに相まって疲れた体に流れ込んでくるぜ。もう全部飲んじゃった。レイお味はどうだ?」

レイ「これはバナナミルク」

ジュン「甘いものも飲めてオレは満足だ。締めるから立ってくれ。より一体感を出したいから、3・2・1・DOOM!で締めようじゃないか。3・2・1・DOOM!」

〈バックステージコメント〉

ジュン「キッチリとオマエから防衛してやったぜ。リング上でも言ったが、地元宮城で兄弟で三冠戦ができて最高に楽しかった」

レイ「今日はオレの負けだ。チャンピオン・カーニバル優勝した勢いでオレが上回ると思ったんだけどな…、チャンピオンとしてのオマエに負けたぜ」

ジュン「オレはこのベルト、永遠に防衛するつもりだから、またいつかやろうぜ」

レイ「だったらしっかりそのベルト持っていろよ。また成長して、三冠のベルトに挑戦してやるぜ!」

ジュン「じゃあほら、クレープ食べろ」

レイ「次は負けねぇぞ。もらっとくぞ」

ジュン「あれ、帰っちゃうんだな。まぁいいや。ひとりで食べることにしよう。このクレープも、近くのクレープ屋さんのクレープは、このあいだ『TAXIめし』で行ったんだ。なかなかボリュームがあって最高においしいぜ。よし、じゃあ改めて三冠をレイから防衛したから乾杯しよう。ダメージが残っているなろれつが回らない。いただきます。あー、おいしいなぁ。ブルーベリーだ。うん、体に染み渡ってくる。こうして地元で兄弟で三冠戦ができるのは、オレは絶対に忘れないだろう。そして必ずまたやりたいと思う。そしたら次は鈴木秀樹、オマエとだ。必ず防衛してやるよ。DOOM!」