「バカの時代 vs 北斗軍~新木場ラグナロク~」6月24日(火)新木場大会詳報 全日本プロレス

「バカの時代 vs 北斗軍~新木場ラグナロク~」6月24日(火)新木場大会詳報

ニュース

北斗軍とバカの時代は、年始の全日本プロレスTV認定6人タッグ選手権試合で激闘を繰り広げ、苛烈な軍団抗争に突入。5.18大田区大会で北斗軍が同王座の奪還に成功すると、北斗が「北斗軍vsバカの時代、次で最後だ!バカの時代は、オレたちが終わらせてやる。全日本プロレス、新木場押さえとけ!」と要求し、最終決着戦『バカの時代vs北斗軍~新木場ラグナロク~』が正式決定となった。

〈オープニング〉

オープニングには、バカの時代の青柳優馬と鈴木秀樹が日本テレビ系バラエティー番組『ぐるナイ』に出演した際に着ていた青色の全身タイツで登場。優馬が「重大発表がございます」と切り出すと、「最近の全日本プロレス新木場大会の完売記録が、本日をもって止められました。いかにバカの時代と北斗軍に需要がないか…、そんな大会にお集まりいただき、ありがとうございます」と自虐トークで盛り上げ、自ら全対戦カードをアナウンスした。

〈第1試合〉
シングルマッチ 時間無制限1本勝負

立花誠吾 vs タロース

先鋒戦は、立花誠吾とタロースのシングルマッチ。身長2メートル13センチの大巨人・タロースは、日本マットデビュー戦となる6・1仙台大会から大きなインパクトを残し、早くも世界タッグ王座挑戦が決定(7.17後楽園大会で北斗と組み、王者組・宮原健斗&青柳優馬と対戦する)。立花はタロースがゼンニチマット上陸を果たした際、自身のSNSに「帰国するまで試合で組まれませんように」と投稿していたが、願いも虚しくシングルが組まれてしまった。

覚悟を決めて決戦のリングに上がった立花は試合前、臨戦態勢のタロースをいなすと、マイクを握り「カードを組んだやつ、あとでぶっ飛ばす」と恨み節。続けて「オレの頭の中にあるスーパーコンピューターでいろいろとシングルマッチを考えたけど、オマエがチョークスラムさえ使わなきゃ、ギリオレの方が強いということが分かった。だから今日は、タロース・ノー・チョークスラムマッチだ!」と一方的に要求すると、タロースは日本語で「ワカリマシタ」とこの特殊ルールを快諾した。

立花がゴングと同時にエルボーを打ち込んでいくが、タロースはびくともしない。足を踏みつけてロープに走っても、逆に弾き飛ばされてしまう。場外にエスケープした立花は、椅子をリングに持ち込もうとする。レフェリーが注意すると、「これくらいいいだろ!」と悲痛な叫び。しぶしぶ椅子を置いてリングインした。立花を捕まえたタロースがチョークスラムの体制に入ると、レフェリーが反則カウントを数える。九死に一生を得た立花は、ジャイアントキリングを起こすべく、低空ドロップキックを放ったが、タロースが張り手一撃で黙らせる。高々と抱え上げてのボディスラム、ネックハンギングツリーを決めたタロースは、そのまま豪快なボムで叩きつけてカバー。わずか3分30秒で立花を捻り潰し、北斗軍に1勝目をもたらした。

〈第2試合〉
タッグマッチ 時間無制限1本勝負
佐藤光留 阿部史典 vs ジャック・ケネディ 愛澤No.1

北斗軍のケネディと愛澤は、6・14岐阜大会でタロースを加えたトリオで、北斗&羆嵐&他花師が保持する全日本プロレスTV認定6人タッグ王座に挑戦。同門対決で軍団の結束を高めて、佐藤&阿部との対抗戦に臨んだ。

佐藤とケネディの対戦でスタート。佐藤がローキックで牽制してタックル。濃密なグラウンドの攻防が繰り広げられ、両者一歩も譲らない。阿部と対峙した愛澤は、「阿部ちゃん!本日はご指名ありがとうございます」と片膝をついて右手を差し出す。阿部が握手に応じると奇襲を仕掛け、師匠・菊地毅直伝のゼロ戦キックをズバリ。阿部を孤立させ試合を優位に進めていく。ケネディが滞空時間の長いブレーンバスターを決めると、阿部は低空ドロップキック、延髄斬りで反撃。佐藤がキックのラッシュから「投げるぞ、オイ!」と予告。水車落としは決められなかったが、強烈なミドルキックを打ち込み、ケネディも逆水平チョップで応戦して我慢比べ。腕を取られそうになったケネディは、サイドバスターで鎮圧して愛澤にチェンジ。愛澤は串刺しジャンピングニーからフェイスクラッシャー。10分経過。佐藤と阿部が同時アキレス腱固めを仕掛けると、ケネディがボディプレスでカット。再び阿部に照準を定めた北斗軍は、合体攻撃を決めて仕上げにかかる。愛澤はシャンパンを無理やり飲ませると、ロープを往復してからシャンパンボンバー。直撃した阿部だが、アイルビーバックのムーブからシャンパンを噴射すると、酒気帯び伊良部パンチから丸め込み。カウント2で返されてもお卍固めを完成させて勝負あり。次鋒戦はバカの時代に凱歌が上がり、対抗戦のスコアを1対1、イーブンに戻した。

〈第3試合〉
6人タッグマッチ 時間無制限1本勝負
鈴木秀樹 真霜拳號 宮本裕向 vs アジャコング 羆嵐 他花師

“女子プロレス界の超獣”アジャコングは、北斗軍のサポートメンバーとして1・26幕張大会に参戦し、北斗&羆嵐と6人タッグ王座に挑戦。ベルト獲りを逃したが、「もう1回、全日本に乗り込む」とゼンニチマット再上陸を予告していた。

他花師が持ち込んだヤスリを手に取ったアジャは、バカの時代を威嚇。秀樹と真霜は試合前から揉めており、宮本が先発を買って出てコーナーに下がっても、互いに張り手を浴びせ合う。試合開始のゴングが鳴ると、羆嵐がロープに押し込んで野生の雄叫び。タックル合戦でも打ち勝ったが、宮本も鮮やかなヘッドシザースで応戦。声援を浴びた他花師がリングに飛び込むと、チャンピオン・カーニバル2025で同じブロックだった真霜と対戦。紳士的に握手を求めるが真霜は拒否。この態度にアジャは「握手くらいしてやれよ!」とクレームを入れる。真霜コールが発生してようやく応じようとした瞬間、他花師の地獄突きが火を吹いた。

アジャと秀樹の対戦が実現。コーナーに控えた他花師が姉さんコールを煽る。一斗缶を叩いていると、アジャがツッコミを入れて他花師はダウン。そんな他花師に秀樹が気を取られていると、アジャが一斗缶で一撃。重いチョップを打ち込んでいくと、ボディスラムで叩きつけジャンピング・エルボードロップを投下した。他花師が続いて、6・1仙台大会で敗れた怨念を秀樹にぶつけると、鼻水を吹きかけて精神的なダメージも与える。羆嵐の追撃を阻止した秀樹はぶら下がり式首4の字で流れを変え、真霜の顔面を張ってスイッチ。一瞬イラッとした表情を見せた真霜だが、羆嵐に強烈な膝蹴り、レッグラリアット。10分経過。羆嵐がアルゼンチン・バックブリーカーを仕掛けると、真霜はスリーパーで絡みついてアームブリーカードロップ。羆嵐も重爆ドロップキックで一矢報いる。

特攻隊長・宮本が連続タックルをぶっこんでコーナーに上がると、アジャは他花師のアシストから雪崩式ブレーンバスター。ハンドスプリング式エルボーを被弾しても、バックドロップで豪快にぶん投げる。再び秀樹vs他花師。他花師が急所を蹴り上げて、北斗軍の連続トレイン攻撃。羆嵐のセントーンから他花師は地獄突きの乱れ打ち。秀樹を羽交い絞めにしたがアジャの一斗缶は誤爆。すかさず秀樹が丸め込んでカウント3。勝利を飾ったにも関わらず、秀樹と真霜は互いの顔面をビンタしてギクシャク。秀樹はアジャにもちょっかいを出したが、一斗缶で殴られ大の字に。勝者とは思えぬ醜態をさらしたが、バカの時代が2勝目をあげて優馬にバトンを繋いだ。

〈第4試合〉
メインイベント シングルマッチ 時間無制限1本勝負
青柳優馬 vs 大森北斗

大将戦は青柳優馬と大森北斗の一騎打ち。両者は1995年生まれの同い年だが、キャリアでは優馬が4年先輩。年始から続く抗争の先頭に立ち、何度も激しい火花を散らしてきた。直近では、5・11札幌大会のチャンピオン・カーニバル公式戦で対戦し、北斗がナルシストロールで勝利。7・17後楽園大会では世界タッグ王座を巡り激突することも決まっている。

北斗は、グレイシートレインならぬ北斗軍トレインを作って入場。たった1人で登場した優馬がセコンドの多さに抗議すると、北斗は「1対1でやらせてくれ。正々堂々やりたいんだ」とセコンドをバックステージに下げた。

バカの時代の2勝1敗で迎えたメインイベント。両ユニットの命運をかけた最終決戦は、ロックアップから腕を取り合いでスタート。道場で過ごした日々を思い返すように、互いの力を確かめ合う。2人の間にエモーショナルな空気が流れたが、ロープへ押し込んだ北斗のナルシストポーズに、優馬は「気持ちわりぃ」と嗚咽。タックル合戦は北斗に軍配。本田竜輝の反則カウント1・2・3・4!ムーブをパクると、安齊勇馬を彷彿とさせる指切りジェスチャー、ライジングHAYATOのPUNKなポーズまで披露。場外戦に突入して2人がバックステージへ姿を消すと、外から羆嵐や他花師の声が轟く。ファンから優馬の身を案ずる声援が飛んだが、優馬が北斗を捕えた状態で帰ってくる。

木槌攻撃を嫌がった北斗は客席のファンに紛れて雲隠れ。優馬は完全に見失う。場外カウントが数えられ、北斗が慌ててリングに戻ると、怒った優馬はエルボードロップを連発。エルボーのラリーが展開されると、優馬が倒れ込んでの急所蹴り。レフェリーの注意を逸らして股間を踏み潰し、あたかも自分がされたかのようにアピール。追撃のブレーンバスターは北斗がリバース。エルボーの速射砲からコンプリートショット。チンロックで顔面を破壊していく。フィニッシュを予告したが、優馬がカウンターのジャンピングニー。指切りポーズを見せると、ユウマコールが発生。「安齊ごめん!」と叫んでボディアタック。もう一発狙ったが、北斗がレフェリーを盾にする。優馬をレフェリーに衝突させるとRKO。レフェリー不在の状況をいいことに、北斗軍スペシャルを宣言すると、羆嵐と他花師が乱入。しかし、優馬が恐怖の合体技から逃れ、北斗だけがパワーボムで叩きつけられる形に。北斗は急所蹴りでピンチを切り抜け、ナルシストプレスへ。立ち上がった優馬がトップロープを揺らして、北斗はコーナーに股間を痛打する。急所攻撃を狙う両者。制止に入った神林レフェリーが餌食になると、北斗軍がリング上に大集合。バカの時代の面々も優馬の助太刀に入ると、収集不可能な状態となり、大将戦はノーコンテストの裁定が下された。

不完全燃焼な結末にもかかわらず、優馬が「ただ今の試合をもちまして、本日の大会はすべて終了となります」とアナウンス。場内は大ブーイングに包まれる。マイクを奪い取った北斗は「バカ、オマエ!終われるわけないだろ!オレにこんなまともなこと言わせるな!」とツッコんで延長戦を要求。試合の直後で体力を消耗しているため、休憩時間を挟んでからバトルロイヤルをおこなうことを取り決めた。

〈特別試合〉
全選手参加バトルロイヤル 時間無制限

メインイベント終了後に特別試合として行われた、全出場選手参加のバトルロイヤル。休憩時間を空けると、『NTVスポーツテーマ』に乗って14人がリング上に集結する。

正真正銘の最終決戦は、いきなりアジャが一斗缶で無双状態。場外戦に雪崩れ込み、至る所で大乱闘が繰り広げられる。覚醒モードの他花師は、バカの時代、北斗軍関係なく地獄突きを乱射。しかし、四方八方から強烈なお返しをもらってしまい最初の脱落者となる。優馬と北斗は、再び急所攻撃を巡る攻防。神林レフェリーが止めに入ると、オーバー・ザ・トップロープでレフェリーにも関わらず失格が宣告される。代わりに入ったサブレフェリーも次々に退場に追い込まれ、レフェリー不在の緊急事態になると、レフェリーシャツを着た他花師が登場して、特別レフェリーを務めることに。バトルロイヤルのお約束・数珠つなぎ首4の字に突入すると、他花師が逆エビ固めでひっくり返して大喜び。

愛澤とケネディは友情のクロスシャンパンボンバーを狙ったが、誤爆となって愛澤、ケネディの順に脱落。大混戦の中、秀樹はスクールボーイで真霜から3カウントを奪取。タロースがゆっくりとリングインすると、まずは佐藤を場外に投げ捨てる。宮本と阿部もオーバー・ザ・トップロープで脱落に追い込んだが、立花が大巨人の突進をかわして排除に成功。第1試合で敗れた借りを返したが、直後に羆嵐に丸め込まれて失格となる。セントーンを自爆した羆嵐が3カウントを奪われ、残すは、優馬・秀樹・北斗・アジャの4選手。秀樹が北斗にダブルアーム・スープレックスを決めて、ロメロスペシャル狙い。アジャが一斗缶で阻止すると、優馬の脳天にも一発。倒れた優馬が覆いかぶさる形になり秀樹が脱落となった。止まらないアジャは、優馬と北斗をまとめてボディプレスで圧殺。両ユニットの大将を同時に沈めて、予測不能なバトルロイヤルで優勝を飾った。

試合後は鈴木がマイクを握り、交通事故に遭い欠場中の長尾一大心が現在、復帰を果たすために戦っていることを明かし、「お客さんの声援や全日本プロレスTVを見てくださっている方の声援が必要です」と伝える。優馬が音頭を取り、出場全選手、ファンとタイシンコールでエールを送ると、「みなさんどうか一緒に一大心の帰りを待っていてください」と思いを伝え新木場大会は幕を閉じた。

<リング上のマイク>

秀樹「本日はバカの時代vs北斗軍の…なんで試合したんですか?なんで戦ったんだ?」

アジャ「一番わかってないですよ」

秀樹「一斗缶凄かったです。ありがとうございました。アジャさんに拍手をお願いします。全日本プロレス、今日は所属の人は3人しかいませんが、通常の興行も含めて、明るく激しく楽しい試合をしています。でも、少しだけ足りないような気がします。ちょっと前ですけど、全日本プロレスの長尾一大心が交通事故に遭って、今復帰するために必死に頑張っています。僕は…(言葉を詰まらせる)、ご両親の許可をいただいて、長尾先輩に会ってきました。長尾先輩は戦っていました。『鈴木君、遅いよ』と言われたような、言われてないような、ずっと先輩なので…、何言っているかわかんないですけど、とにかく頑張っています。今日の試合のような、お客さんの声援や全日本プロレスTVを見てくださっている方の声援が必要です、長尾一大心には」

優馬「もしよかったら、今ここにいるリング上の全員とご来場のみなさんで一緒に、タイシンコールを長尾一大心に届けたいと思いますので、みなさんご協力お願いします。僕がせーのと言ったら、一緒にタイシンコールでお願いします。いきますよ!せーの!」

場内から大タイシンコールが起こる。

優馬「ありがとうございます。間違いなく一大心に届いたと思いますし、必ず僕らが一大心のもとに届けますので、みなさんどうか一緒に一大心の帰りを待っていてください。今日はありがとうございました」