「サマーアクションシリーズ2025」7月17日(木)後楽園大会詳報&試合後コメント
ニュース
4・23後楽園ホール大会での青柳亮生のアピールを受けて、2年ぶりの開催が決まったジュニアシングルリーグ戦『ゼンニチJr.フェスティバル2025』がいよいよ開幕。今大会では公式戦4試合がおこなわれ、さらに世界タッグ選手権試合では同王座の新調されたベルトもお披露目された。
<全試合前>

第1試合前に『ゼンニチJr.フェスティバル2025』出場選手による入場セレモニーを実施。開会宣言ののち各選手が引き揚げる中、今大会での対戦を控える青柳亮生と“ミスター斉藤”土井成樹がリングに残る。土井が握手を求めるも、亮生は応じることなく深々と一礼をして、リングから下りた。
<第1試合>
ゼンニチJr.フェスティバル2025 Bブロック公式戦 30分1本勝負
田村男児 vs 阿部史典

第1試合は、『ゼンニチJr.フェスティバル2025』Bブロック公式戦。田村男児は2年前のジュニアシングルリーグ戦(『Jr. BATTLE OF GLORY2023』)優勝者で、阿部史典とは昨年2月に世界ジュニアヘビー級王座を懸けて対戦し、防衛に成功。今回が4度目のシングルマッチで、過去の戦績は1勝1敗1分けの五分となっている。
ガッチリと握手を交わして開始のゴング。田村が片足タックルで倒してグラウンドに持ち込み、上の体勢をキープしてチョップを放っていく。互いにグラウンドで体勢を入れ替えながら、スタンドに戻る。コーナーに詰められるも、体勢を入れ替えた阿部が右ハイキックをぶち込む。ダウンした田村を引きずり起こした阿部は強烈なエルボー。阿部がフロント・ネックロックでとらえるも、田村は強引に担ぎ上げてブレーンバスターで叩きつける。田村がロープに飛ばされた阿部はカウンターでヒザに低空ドロップキック。さらに背中にサッカーボールキックを叩き込み、フロントキックと畳みかける。
田村もカウンターで阿部をとらえて、バックブリーカー。続けて田村はブレーンバスターの体勢で阿部を担ぎ上げて前方からロープに落とす。パワーボム狙いは阿部がリバース。サッカーボールキックからお卍固めを決めるが、田村が振りほどく。ヒザ立ちでのエルボーの応酬。ともに立ち上がりゴツゴツと打撃を叩き込み合った中、阿部の伊良部パンチを防いだ田村がヘッドバット。それでも阿部はアイルビーバックから伊良部パンチ。しかし田村もショートレンジ・ラリアットを返し、パワーボムで叩きつける。阿部の丸め込み連発をしのいだ田村は、素早くラ・マヒストラルを決めて3カウント。前回大会の優勝者・田村が難敵の阿部を下して、幸先のいいスタートを切った。
<バックステージコメント>
田村「2年ぶりのジュニアリーグ、2年前優勝者として、それからオープニングマッチ、試合を勝利で飾ったということで。相手は阿部史典、格闘探偵団。探偵団って分かんねえけど、安定を求めてやってるんだと思ったけど、今日やって、やっぱり良かったよ。こうやってガッチリ打撃入ってくるし、ちょっと気持ちよくなっちゃった。まだまだやらないといけないし。AブロックはAブロックで、BブロックはBブロックでやることがあって。それぞれやることがある。確かにAの方がメンツは濃い。メンツは濃いけど、BはBでやることがあるから、お互いぶつかっていこうよ」
阿部「初戦、田村男児、負けました。真っすぐな選手かなと思ったけど、ちゃんとこの2年でテクニカルな部分があって、悔しい。ありきたりですけど、まだ初戦なんで。全日本プロレスのジュニアの称号を得るっていうのは、ずーっと成し遂げられてない自分の夢なんで、また次戦から気持ち切り替えてやります」
<第2試合>
ゼンニチJr.フェスティバル2025 Aブロック公式戦 30分1本勝負
井上凌 vs 佐藤光留

第2試合は、『ゼンニチJr.フェスティバル2025』Aブロック公式戦の井上凌vs佐藤光留。光留は出場メンバー中、前身大会を含めてジュニアシングルリーグ戦に最多エントリーで、いまだ手にしていない栄冠を目指す。2年前のシングルリーグ戦では井上が勝利しているが、過去の戦績は光留が3勝1敗と勝ち越している。
ゴングと同時に光留が距離を詰めて蹴りを叩き込んでいく。グラウンドになると、井上が上のポジションを取って打撃を見舞っていく。その後も両者は譲らぬ攻防を見せ、光留がグラウンドでアームロックを狙うと、井上が脱出。井上が串刺し攻撃からハーフハッチ・スープレックス。井上が腕ひしぎ十字固めを狙うと、光留は足を取りアキレス腱固め。さらにヒールホールドに移行して絞り上げ、粘る井上からギブアップ勝ち。光留が“秒殺発進”を飾った。
<バックステージコメント>
光留「全日本ジュニアはな、オマエらが思ってるより全然重いんだ。体重軽いよ、身長低いよ。でも全然、重いんだ。井上、オマエ最年少らしいな。だからなんだよ。なんだよいまの。やってみたら、なにしてたんだよ、この試合のない期間よ。なんにも変わってねえじゃねえか。オマエ、他団体のチャンピオンに、むかし一回、ちょっと相手してもらったことがある他団体のチャンピオンにちょっと名前出して上に行こうとする。オマエはどこにいる? オマエはどこにいるんだよ!? SNSじゃない、リングの上にいるんだ。全日本ジュニアはリングの上にいるんだ。それを忘れるなよ、オマエら。ジュニフェス、全部、秒殺で勝ってやる」
井上「(うなだれながら、イスに頭を打ちつけて)なにがいけなかったんだよ…クソ、チキショー! アァー!」
<第3試合>
6人タッグマッチ 30分1本勝負
鈴木秀樹 真霜拳號 立花誠吾 vs 羆嵐 他花師 小藤将太

第3試合では北斗軍の羆嵐&他花師とOSWの小藤将太が異色トリオを結成し、“バカの時代”と対戦。
先発は立花と小藤。立花がショルダータックルで倒すも、小藤もリープフロッグからのアームドラッグで反撃。立花は小藤を担ぎ上げて、自軍コーナーに持っていき、秀樹にスイッチ。秀樹はコーナーに詰めて、小藤の腹部にエルボーを連打。タッチを受けた真霜も、小藤のチョップを受け止め、強烈な逆水平チョップ。小藤は真霜の突進を迎撃し、ドロップキックを決めて他花師につなぐ。他花師は相手3人に地獄突きを連発。他花師から代わった羆嵐も真霜にセントーン。アルゼンチン・バックブリーカー狙いは真霜が脱出し、カウンターでレッグラリアット。
タッチを求めた秀樹は、羆嵐にスリーパーホールド。他花師が勢い勇んで秀樹に突進も、しゃがみ込んだ秀樹の頭部が急所に当たって悶絶。小藤が羆嵐のアシストを受けて秀樹を攻め立てる。真霜が羆嵐を場外に排除して立花が飛び技を狙うと、真霜が無意識にガード。すると、なぜか秀樹が真霜に襲い掛かって場外に落とす。今度こそ立花が飛び技を狙うも、今度は秀樹が邪魔をする。秀樹を突き飛ばした立花がようやく場外の他花師&羆嵐、そして真霜にノータッチ・トペコン。リング上では小藤が秀樹に丸め込みを連発して食らいつくも、スリーパーホールドで動きを止められ、グッタリとしたところでカバーに入られて3カウントが入った。試合後も“バカの時代”はもみ合いながらバックステージに引き揚げた。
<バックステージコメント>
秀樹「(イス上に座りながら)アニキ!」
立花「違うって!」
秀樹「いま、流行りだから」
立花「いま流行ってんの?」
秀樹「とりあえず、ありがとうございました(頭を下げる)」
立花「ありがとうございました(頭を下げる)。オマエ(真霜)なにしてんだよ」
秀樹「ちゃんとしろよ」
真霜「私、なんにもしてないですよ」
秀樹「いま流行ってんだから。座礼したら、いい試合になんるだから。ちょっとエモい感じになるんだから(立花と座礼をし合う)」
真霜「いや、わかんねえな、私には」
立花「どっか行っちゃった」
秀樹「フザけんな、オラ!(と言い残して引き揚げる)」
立花「まあ、いいや。座礼したら、エモい試合になるってさ。オマエらレスラー、覚えとけ。座礼したらいい試合、エモい試合になるんだってよ。だからこれから絶対に座礼はする、俺は。とにかくジュニアリーグ、俺、シングルで全日本でこういうリーグ戦出るの初めてだから。これこそエモいじゃねえけど、心に来るものがあって、個人的にな。絶対に結果残して優勝するぞ。去年、GAORA(TV王座)、俺のベルトにしたよな。世界ジュニア、今年は俺のベルトにするぞ、あぁーん?」
他花師「ノーノーノ―! ノー、ギブアップ! 将太、セイ・ノー!」
羆嵐「返してんだろ、最後」
他花師「ノー! ノー、ギブアップ! 将太ー!」
羆嵐「大丈夫か?」
小藤「クソー! これが全日本のヘビー級の強さかと、マジマジと実感させられました。でもまだまだ、俺は諦めない。このリングでまだまだ闘い続けてやります!」
他花師「やったろ!」
羆嵐「やられっぱなしじゃ。秀樹に食らわせてやれ!」
小藤「鈴木秀樹、ぜってぇやり返してやる!」
羆嵐「将太、きっとな北斗軍の新しい戦力になる。どうだ?」
小藤「…すみません!」
羆嵐「おーい!」
他花師「えっ? 将太、なんで? イケメンチームに入らないの?」
小藤「イケメンなのボクだけじゃないですか」
羆嵐「これプロレス業界だとなんて言い方するんですか?」
他花師「干される!」
羆嵐「サイレント干し」
他花師「ノーノ―、口頭で干される! そういうことだ、将太」
羆嵐「さんざん俺たちにそういう感じで見せておいて」
小藤「最後、誰も助けに来てくれなかったじゃないですか」
羆嵐「行こうとしたよ。オマエ、返せよ、ちゃんと!」
他花師「チキショー!」
羆嵐「オマエ、OSWの道場で特訓だ! 北斗軍のジュニアの戦士として特訓だ」
他花師「きっと彼は出世します」
<第4試合>
三冠ヘビー級選手権試合前哨戦 8人タッグマッチ 30分1本勝負
斉藤ジュン 斉藤レイ MUSASHI 宮本裕向 vs 本田竜輝 デイビーボーイ・スミスJr. 芦野祥太郎 綾部蓮

第4試合は、7・21大阪大会での三冠ヘビー級選手権を控える王者・斉藤ジュンと挑戦者・本田竜輝の前哨戦。本田は6・18後楽園大会の試合後にジュンから“スイーツ泥棒”を働いた上で挑戦表明し、7月3日の記者会見でも再びショートケーキを盗み食い。王者を惑わせつつも、三冠王座には今回で4度目の挑戦とあり、「斉藤ジュンを本気で潰す」と悲願のベルト奪取に向けて並々ならぬ意気込みをのぞかせている。
ゴングと同時にジュンと本田がショルダータックルで衝突。互いに一発ずつタックルで相手を倒してから宮本と綾部にタッチするも、本田はエプロンで控えるジュンに突進して、そのまま場外でやり合う。リング上ではMUSASHIがつかまるも、スミスJrの突進をかわしてどうにかレイにつなぐ。レイがスミスJrにボディープレス。スミスJrもフロントキックを返して、芦野にタッチ。レイは芦野に逆水平チョップを連発し、ショルダータックルで倒す。ブレーンバスター狙いは芦野が切り返し、レイの突進をかわしてバックに回る。しかし、投げることはできずコーナーに押し潰され、続けてヒップドロップのエジキとなる。それでもチョークスラム狙いをかわし、バックをとらえると投げっぱなしジャーマンを放つ。
ジュンと本田の攻防。ラリアットの相打ちから、ジュンが滞空式ブレーンバスター。本田をジュンの突進をかわし、串刺しラリアットからエルボーを連打。レフェリーの制止を無視してエルボーを叩き込み続け、走り込んでのラリアットを狙う。しかし、ジュンがフロントキックで迎撃し、ショートレンジ・ラリアット。本田もすぐに立ち上がってラリアットを返して、綾部にタッチ。綾部とMUSASHIが対峙。MUSASHIが小気味のいい動きで綾部を攻めるが、串刺し攻撃狙いは本田がタックルでカット。するとジュンが本田をとらえて場外戦に連れ出して、激しくやり合う。リング上ではMUSASHIが綾部に丸め込みを連発。後頭部への低空ドロップキックからエストレージャ・フトゥーロを放つも、かわされる。MUSASHIは芦野、スミスJrの連弾を食らい、綾部のフルネルソンバスターに決められる。最後は綾部がデスルーレットで3カウントを奪った。勝敗が決しても、ジュンと本田は客席でエルボーを打ち合うなど、三冠戦に向けてヒートアップしていた。
試合後、芦野がマイクを手にすると「全日本プロレスで俺の唯一の友だちがいるんですけど、その友だちからビデオメッセージが届いてます」と語り、場内ビジョンにはザイオンが映し出される。ザイオンが「ハヴォックの新メンバーを紹介する」と口にすると、巨漢の外国人選手が車から登場。巨漢の人物は「オデッセイ」と名乗り、ハヴォックの一員として暴れ回ることを誓った。
メッセージを受けて再びマイクを手にした芦野は、オデッセイを「193cm、185kgのバケモノ」と紹介。8・3大田区大会への参戦を明かした上で、「ハヴォックで全日本プロレスを大混乱に導いてやる」と不敵に言い放った。
<リング上での芦野のマイク>

芦野「三冠戦の前哨戦で盛り上がってるところ非常に申し訳ないんだけど、一つ喋りたいことがあるんですよ。全日本プロレスで俺には唯一の友だちがいるんですけど、その友だちからビデオメッセージが届いてます。皆さま、ちょっとだけお時間借りていいですか(ビジョンにザイオンが登場)」
ザイオン「(日本語で)コンニチハ、オールジャパン。ワタシはザイオン。(英語で)いま、オレはアメリカにいるんだ。俺たちハヴォックの新しいメンバーを紹介するためにな」
オデッセイ「オールジャパン、俺はオデッセイ。ハヴォックで大暴れしてやるぜ。フォフォフォー!」
芦野「彼はオデッセイ。193cm、185kgのバケモノだぞー! きっと、俺の全日本プロレスの唯一の友だちであるザイオンが紹介してくれてるから、たぶん友だちになれると思う。オデッセイが全日本プロレスに襲撃してくるのは、8月3日だ。ザイオンも帰って来る。全日本プロレスをハヴォックで大混乱に導いてやるよ」
<バックステージコメント>
本田「おい、言ったろ、斉藤ジュン。オマエのこと本気で潰すって。俺はどうしても、どうしてもあの三冠ベルトが欲しいんだよ。7月21日、大阪でオマエの持ってる三冠ベルト、俺がオマエを潰して奪ってやる」
芦野「いまリング上で喋ったように、ザイオンがバカデカいモンスターをハヴォックに連れて来る。193cm、185kg、オデッセイだ。よく覚えとけよ。8月3日だ。8月3日、大田区総合体育館大会、そこでオデッセイが全日本プロレスに来るぞ。そして、ザイオンも帰ってくる。ハヴォックの第2章の始まりだよ。やってやるよ」
綾部「後楽園ホール、1カ月ぶりの試合。間隔がなかなか空いてしまったが、SNSで言った通り、後楽園ホールでMUSASHIを沈めた。オマエ、ジュニフェス出るんだよな? 今日、公式戦ないから相手にいたけど、こんなので大丈夫なのか、ジュニフェス? 今日のダメージで公式戦に辿り着けねえかもしれねえな。しかし、綾部蓮の対角に立ったことが運の尽きということだ」
ジュン「(本田は)元気すぎるな。うるさくてしょうがないヤツだが、試合になるとちょっとやそっとじゃ退かないな。オマエを黙らせるにはちょっとやそっとじゃダメなのが分かったぜ。7・21大阪でオマエをペチャンコにDOOMしてやるよ。黙らせてやるよ。DOOM!」
<休憩明け>
休憩明けに8・24後楽園大会から開幕する『王道トーナメント2025』の出場選手及び
1回戦のカードを場内ビジョンで発表。全16名の出場選手が読み上げられ、野村直矢の名前が告げられた際にはどよめきとともに歓声。また、「X」も1名も名を連ね、8・3大田区大会で“正体”が明らかになる模様。1回戦のカードは以下。★8・24後楽園=Xvs斉藤レイ、真霜vs宮原、野村vs青柳。★8・30島根=スミスJrvs芦野、オデッセイvs秀樹。★8・31神戸=羆嵐vs本田、ザイオンvs大森北斗、斉藤ジュンvs綾部。
また、8・3大田区でのGAORA TV選手権試合◎<王者>他花師vs黒潮TOKYOジャパン<挑戦者>、綾部vsタロースのシングルマッチも発表された。
<第5試合>
世界タッグ選手権試合 60分1本勝負
【第100代王者組】宮原健斗 青柳優馬 vs 大森北斗 タロース【挑戦者組】

6・18後楽園大会でDRAGONGATEの菊田円&KAIを下した宮原健斗&青柳優馬に対して、北斗軍リーダーの大森北斗が身長2m13cmの“大巨人”タロースとともに挑戦表明をおこない、今大会でのタイトルマッチが決定。タロースは「ワタシハ、チャンピオンニナリタイデス」と日本語を駆使して王座取りをアピールし、北斗もまた全日本プロレスTV認定6人タッグ王座、GAORA TV王座と2つのベルトを保持する軍団の勢いを強調した上で「いまの俺たちに勝てるとこなんてあると思ってんのか!?」と3つめの王座獲得に自信をみなぎらせている。
対する王者組はタロース対策に頭を悩ませる宮原の一方で、優馬は「大森北斗に一点集中すれば勝てる」と断言。さらに「宮原健斗の名前を懸ける」とまたしてもパートナーの意思を無視して勝手に“条件”を提示した。
なお、1988年の“初代王者組”から使用されてきた世界タッグのベルトが今一戦からリニューアルされ、勝者組には新ベルトが贈呈されることが決まっている。
試合開始前に両チーム、観客に新ベルトのお披露目。北斗軍のセコンドには他花師、羆嵐が付く。先発は宮原とタロース。タロースは宮原の攻撃を受け止めると、ショルダータックル一発で難なく倒す。タロースから北斗に代わると、優馬もタッチを求める。優馬は北斗にドロップキックを決め、さらにエプロンで控えるタロースを過剰に挑発する。北斗がつかまる中、タロースはエプロンで控える宮原に背後から襲い掛かり、王者組のコーナーに陣取る。気づいていない優馬が背中を向けた状態で自軍コーナーに北斗を連れていくも、振り向くとそこにはタロース。ここから挑戦者組が形勢逆転し、客席になだれ込んでの派手な場外戦を展開する。リング内に攻防が戻り、北斗軍は人海戦術で徹底的に優馬を攻め立てる。
防戦の優馬は、挑戦者組の合体技“ワタシハチャンピオンニナリタイデス”を防いで、宮原にタッチ。タロースが宮原に串刺しボディーアタックから、投げっぱなしサイドバスター。タッチを受けた北斗も宮原にエルボーアタック。宮原は北斗にヒザ蹴りを叩き込んで、優馬につなぐ。優馬は北斗にダイビング・クロスボディーアタック。北斗は相手の同士打ちを誘い、優馬にローブロー。タロースとともにトレイン攻撃を見舞い、次こそ合体技の体勢に入る。タロースがバックドロップの体勢で担ぎ上げて、ホイップしたところに北斗が飛びつきネックブリーカーを合わせるも、カウント2で宮原のカットに遭い、続けての「アルティメット北斗軍スペシャル」もかわされてしまう。
タロースがチョークスラムを狙うも、これは宮原がカットに入る。優馬はタロースのヒザに低空ドロップキック。宮原のブラックアウト&優馬のトラースキックの連係。タロースを場外に排除し、リング内は優馬と北斗の攻防。北斗はナルシストプレスはかわされながらも、エルボー連発などで優馬を攻め込む。優馬もカウンターのラリアットから垂直落下式ブレーンバスター。ロックスターバスターをカウント2で返されると、続けてのTHE FOOLで3カウント奪取。北斗軍を撃破して防衛に成功するとともに、2本の“新ベルト”を手にした。
試合後、王者組の前に鈴木秀樹が登場。最近の優馬が「フザけすぎ」と指摘した上で「本気の青柳優馬と試合がしたい」とタッグ王座への挑戦をアピール。宮原からパートナーを問いただされると、真霜拳號が登場。宮原は「オマエらちょっと強すぎないか?」と一瞬たじろぎながらも、最終的には8・3大田区でのタイトル戦を提案。同大会での王座戦が決定的となった。
<リング上でのマイクのやり取り>

秀樹「防衛おめでとうございます。第100代、ビジネスタッグ、素晴らしい試合でベルトもお似合いです。このタイミングで私が来たということは、皆さんお察しの通り、あれです。あれですが、その前に1個だけ確認させてください。青柳優馬、最近フザけすぎてませんか? 私があれだけ全日本プロレスの象徴は宮原健斗だと、凄くインパクトのあるマイクをしたのに、やれ髪を懸ける、名前を変える、全日本の象徴に対してフザけすぎじゃないですか? このままいったら、たぶんフザけたような感じになるので、それは本意ではないです。ボクは本気の青柳優馬と試合がしたい。宮原健斗はこれでいい。宮原健斗はこのままでいい。宮原健斗はこのままでいい。(青柳に)本気でやれますか? 本気でやってますか?」
優馬「本気です!」
秀樹「(マイクをほしがる宮原に)大丈夫、わかってます。(なおもほしがる宮原に)わかってます。いや、わかってるわかってる(渋る鈴木の手から宮原がマイクをひったくる)」
宮原「おい、鈴木秀樹! 俺はオマエにチャンピオン・カーニバルで負けてんだよ。借りがあるんだよ。ただな、これはタッグのベルトだ。一人じゃ無理だ。誰か一人連れて来いよ」
秀樹「もちろん今日はパートナーを準備してます。そりゃあ一人で、そんなバカじゃないですよ。ボクのパートナーは、コイツだ!(秀樹はビジョンに視線をやるも、花道から真霜が登場)」
真霜「パートナーは俺、真霜拳號だー! 遊びは、なしだ。わかってんな? 文句あるか?」
宮原「文句あるか、お客さん? どうだ!? オマエらちょっと、強すぎないか? ただな、俺らは全日本プロレスの青柳優馬と宮原健斗だ! そう、どこでやるかだ。おい、アンタたちは夏のフェスティバルを知ってるか? そもそもフェスティバルの意味を知ってるのか、アンタらは? 知りたければ8月3日、大田区に来い!」
<バックステージコメント>
宮原「まずは写真タイムだ! なぜなら、ニュータイプだからな。写真だ、写真」
優馬「ニューです、おニュー。クンクン(とベルトの匂いを嗅ぎながら)臭くない。見てくれよ、ニュー。臭くない」
宮原「ここからだ」
優馬「そう」
宮原「いままで歴史の刻まれた第100代世界タッグベルトは、俺らが最後返した。そしてここから、また新たな歴史が刻まれる。さあ、歴史の始まりとともに、一回目のチャレンジャー! 鈴木秀樹、真霜拳號、夏のフェスティバルやろうじゃねえか。俺はまだこの夏、フェスティバルを感じたことがねえからな。このニュータイプのベルトと鈴木秀樹、真霜拳號、オマエらとなら、この夏のフェスティバルを世の中に感じさせられそうな気がするよ。8・3大田区、真霜拳號、鈴木秀樹、勝負だ」
優馬「サマーフェスティバルだ。ちょうどいいじゃねえか。この季節、メチャクチャ汗が出るからな。このベルトに俺たちビジネスタッグの汗を染み染みにさせて、俺たちの匂いをこびりつけてやる」
宮原「シャー! 最高の気分だ!」
北斗「みんな来てくれ」
羆嵐「大丈夫か、北斗」
北斗「ありがとう。今日は他花師も(羆)嵐も本当に、本当にありがとう。今日はこういうときだからこそ、オマエたちに本当に感謝しなくちゃいけない気分だ。俺たちは見ての通り、圧倒的天才なんていなくてさ。一度、大好きなプロレスにうまくいかなかったり、裏切られたりして、一度は絶望を味わったヤツらばかりだ。だからな、負けることに慣れてるとは言わねえけどよ、こんなんで後ろ向いたり、クヨクヨしたりは絶対しない。そして今日、この負けた瞬間になにを言うべきか。タロース、他花師、羆嵐、今日は本当にありがとう。今日はいっしょに闘えて本当によかったよ。負けたときこそ感謝を言わないといけない。勝ったときに感謝を言うのは簡単だし、普段からできることなんだけど、やっぱり負けたときにそのレスラーがどういうレスラーかっていう姿勢が出るから。こういうときにまず第一声、仲間に感謝を言わないといけない。これはほかのユニットにはできない、ワンチームの俺たちにしかできないことなんだ。今日、この言葉を、仙台育英の監督が言っていたこの言葉を、オマエたちに聞かせたかったんだ。すみませんでした」
<第6試合>
ゼンニチJr.フェスティバル2025 Bブロック公式戦 30分1本勝負
青柳亮生 vs “ミスター斉藤”土井成樹

セミファイナルは、『ゼンニチJr.フェスティバル2025』Bブロック公式戦。今リーグ戦の“提唱者”である青柳亮生が“ミスター斉藤”土井成樹と激突した。
亮生は今リーグ戦におけるテーマを「外敵」と表現し、自身が欠場中に盛り上がりを見せていた全日本ジュニアをぶっ壊した上で優勝を飾り、「全日ジュニアは青柳亮生なんだとしっかりと見せたい」と意気込みを語っている。
両者は2023年に世界ジュニア王座を懸けて2度、さらにジュニアシングルリーグ戦でも対戦し、シングル戦績は亮生の2勝1敗となっている。
じっくりとした立ち上がりから、亮生がドロップキックを放って土井を場外に追いやる。土井がリング内に戻っても亮生のペースで、スワンダイブ式ミサイルキック。土井が場外に出ると亮生がコーナーに上るが、足を引っ張られて転落。土井はエプロンに上がった亮生をバックエルボーで叩き落とし、場外でブレーンバスターを見舞う。場外カウントが進む中、亮生はカウント9でギリギリのところでリングに戻る。その後も土井がペースを握り、顔面かきむしりなどラフも交えて亮生に反撃を許さない。防戦の亮生はカウンターのドロップキックで形勢逆転し、ウラカンホイップ、ドロップキックと畳みかける。エルボーの応酬は土井が押し込み、「来いよ、もっと!」と亮生を挑発。さらにエルボーのラリーは激しくなった中、亮生がハンドスプリング式レッグラリアット。突進は土井が迎撃。コーナーに上った土井を亮生がとらえて、雪崩式フランケンシュタイナー。続けてのムーンサルト・プレスはカウント2。ロコモーション式フィッシャーマンズ・スープレックスを決めるが、土井もブレーンバスターを返し、DOI555。バカタレスライディングキックは亮生が切り返して丸め込み。亮生がトラースキック、旋風脚を放つが、土井もすかさずバカタレスライディングキックを叩き込む。土井がコーナーに上ると、亮生がとらえて雪崩式スパニッシュフライを狙う。しかし、土井に顔面をかきむしられてマットに落下。それでも再びコーナーの土井をとらえるも、逆に担ぎ上げられて雪崩式DOI555を食らう。土井が背後からバカタレスライディングキック。旋回式DOI555からバカタレスライディングキックを狙うも、亮生は蹴り足をとらえてエビ固めで押さえ込んで薄氷の3カウント。苦しみながらも土井を撃破して、初戦ながら価値ある1勝を挙げた。
<バックステージコメント>
亮生「キタキタキタ、ヨッシャー。“ミスター斉藤”土井成樹、見たか? 土井成樹を倒すためだけに作成された、バカタレロール。今日は“セカンド”だ。正直、この試合が一番、不安で不安でしょうがなかった。しかし! 青柳亮生は本番に強い。本番に強い男こそ、全日ジュニアの一番になる器だと思っている。とにかく安心しています。このまま全勝で優勝、します! そして、MUSASHI。次、MUSASHIだ。富山でMUSASHI。PRにわざわざ行ってもらって申し訳ないんですけど、青柳亮生が初シングル制します。お楽しみに」
土井「おい、このリーグ戦、負けたらあかんねん。全勝せな、俺は優勝決定戦行かれへんと思ってるから。いまの試合、同じブロックで、亮生と男児が勝ったよな。男児は次の公式戦、直接対決で俺が一本取るから。誰か、他力を含めてや、青柳亮生を独走さすな。誰か取れ、亮生、オマエ、誰かに負けろ。それしかないやろ。全勝したら文句なしでいけんねん。俺、1敗してもうたから、とりあえず残り3つ取るしかないわ。俺に残されたのはそれだけや」
<第7試合>
メインイベント ゼンニチJr.フェスティバル2025 Aブロック公式戦 30分1本勝負
ライジングHAYATO vs 吉岡世起

メインイベントは『ゼンニチJr.フェスティバル2025』Aブロック公式戦で、現世界ジュニアヘビー級王者の吉岡世起がライジングHAYATOと激突。吉岡は王者として「全勝優勝」を掲げ、BブロックにエントリーしているパートナーのMUSASHIとの決勝戦を熱望。一方のHAYATOは「全日ジュニアはずっと虐げられてきた」と過去の忸怩たる思いを踏まえた上で、今リーグ戦を「ジュニアの勝負どころ」とアピール。「今回の“ジュニフェス”でプロレス界のジュニアの一番が決まる」とも語り、リーグ戦の出場選手全員で全日本ジュニアのクオリティーを証明してみせるという、ジュニア全体を意識した強い自覚を感じさせる言葉を残している。なお、両者は初シングルとなる。
序盤から吉岡が高速ロープワークを見せる。エプロン上の攻防で吉岡がクラッシュドライバーを狙うも、HAYATOが抵抗。それでも吉岡はネックブリーカーでHAYATOの首をエプロンに打ちつけ、さらに場外戦で首を攻める。リングに戻っても、吉岡が首攻めを展開。防戦のHAYATOはドロップキックで流れを変え、場外の吉岡にスワンダイブ式プランチャ、さらにリングに戻った吉岡にスワンダイブ式ミサイルキック。吉岡はカウンターのゼロ戦キックで反撃し、鋭い蹴りを畳みかける。エルボー合戦は吉岡が押し込む。痛烈なミドルキックからシザーズキック。HAYATOもファルコンアローを返すが、吉岡もすかさずサッカーボールキックを決める。HAYATOはロープ際の攻防でエプロンマットに突き刺すDDT。コーナーに乗せられた吉岡が抵抗。回転エビ固めの要領で脱出し、HAYATOをコーナーに固定して、顔面にトラースキック。HAYATOを後ろ向きにコーナーにセットし、雪崩式リバース・フランケンシュタイナーを決めるもカウント2。HAYATOがダウンで、カウントが数えられる。カウント4で吉岡がHAYATOをとらえてトーキック、トラースキック。クラッシュドライバー狙いはHAYATOがエビ固めで切り返す。HAYATOがひとでなしドライバーからシド・ヴィシャスを放つも、吉岡がかわしてバズソーキック。クラッシュドライバー狙いはHAYATOが切り返す。吉岡がツームストーン・パイルドライバーの体勢に入るも、HAYATOはカナディアン・デストロイヤーの要領で切り返して、吉岡の頭部をマットに突き刺す。これをカウント2で返されると、とどめのシド・ヴィシャスを放って3カウントを奪った。
開幕戦のメインで現世界ジュニアヘビー級王者を撃破したHAYATOは「全日本プロレスに来たら、必ず楽しい気持ちにさせてあげるよ。プロレス界で面白いのは新日本プロレスでもプロレスリングNOAHでもない。全日本プロレスだよ」と“全日本プロレス所属”としての誇りを感じさせるマイクアピールで、大会を締めた。
<試合後のHAYATOのマイク>

HAYATO「ジュニフェス、初戦、勝ったよ。みんな、楽しかった?(場内から拍手) なら、よかった。普段、面白いことなんもない、腐りきった日本だけど、全日本プロレスに来たら、必ず楽しい気持ちにさせてあげるよ。みんなを楽しくさせて、元気にするのは、国会議事堂で寝てる政治家じゃない。俺たち全日本プロレスだよ。プロレス界で面白いのは新日本プロレスでもプロレスリングNOAHでもない。全日本プロレスだよ。Let‘s Punk!」
<バックステージコメント>
HAYATO「ジュニフェス、初戦勝ったよ。“せーちゃん”強くて、しんどかった。でも、勝ったよ。すべてはリング上で言ったことと一緒になるけど。プロレス界でも全日本プロレスがナンバーワン。なんだったら、この世界でも、プロレス、そして全日本プロレスがみんなに元気を与えることができると思ってるよ。今日、最後は俺たちレスラー、そしてファンのみんなが頑張ってできた環境だと思うよ。あんな幸福な空間はなかなかないよ。みんなも一度、全日本プロレス、見に来なよ。Let’s Punk」
吉岡「負けちゃったよ、負けちまった。後楽園でジュニアがメインのジュニフェス開幕戦、チャンピオンとして勝たなきゃいけない試合だったよな。ライジングHAYATO、予想以上に熱いし、強いし、面白いね。いつかこの借りは、ジュニフェスが終わったら返させてもらうぞ。俺はジュニフェスの決勝戦で大田区で“むーちゃん”と約束を守ったあとで、ライジングHAYATO、オマエとタイトルマッチやってやる」