「北海道ダイナマイトシリーズ2025~長尾一大心追悼大会~」10月29日(水)釧路大会詳報&試合後コメント
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北海道ツアー4戦目の釧路大会は、今年9月7日に21歳の若さで亡くなった釧路出身の長尾一大心さんの追悼大会として開催された。全日本ジュニアの期待の星でもあった長尾さんに捧げるように世界ジュニアヘビー級選手権が組まれ、さらに欠場中の斉藤レイ、スペシャルゲストとしてお笑い芸人のはなわさんも来場して撮影会に参加するなど、興行に花を添えた。
<第1試合>
シングルマッチ 15分1本勝負
本田竜輝 vs 吉岡世起

10・27苫小牧大会ではタロース、10・28帯広大会では潮﨑豪とヘビー級との一騎打ちが続いている吉岡世起が、オープニングマッチで本田竜輝とのシングルマッチに臨んだ。
序盤は本田がペースをつかむも、吉岡は高速ロープワークからのフロントキックで相手を場外に出し、追撃のケブラーダを見舞う。リングに戻っても吉岡が攻勢。本田はカウンターのスパインバスターで反撃し、串刺しラリアット。ロープに押しつけて、客席を煽って「1、2、3、4!」を観客とともに連呼。さらにチンロックを決め、相手を横に振りながら「せーちゃん、せーちゃん!」と叫ぶ。防戦の吉岡はカウンターのドロップキックを放ち、蹴りを連打。吉岡のミドルキックに本田はエルボーを返す。激しいラリーの中、吉岡がトラースキック。本田は吉岡のコーナーからのダイブをスカし、カウンターでスピア。吉岡はラリアットをかわして逆さ押さえ込みなど丸め込みを連発するも、本田がラリアットで相手の動きを止める。追撃のラリアット狙いは吉岡がかわして、ラ・ミスティカの動きから高速のラ・マヒストラル。しかし、本田が丸め込みで返して逆転の3カウント。
第1試合から客席を何度も沸かせる闘いを見せた本田は、勝利のホンダンス。吉岡の手を取り声援に応え、ともに花道を引き揚げた。
<吉岡、本田のコメント>

吉岡「アー、クソ! 対ヘビー3連戦、1回も勝てなかった。でも、これは最強タッグへの布石…」
本田「(横から割り込んで来て)せーちゃん!」
吉岡「なんだよ」
本田「今日は俺、勝ったよ。今日、闘いを通して、明後日、潮﨑豪、芦野祥太郎に勝ちたいんだよ、俺は! だから明後日、絶対、旭川で勝とうぜ」
吉岡「OK!」
本田「ヨッシャー!(吉岡と手を取り合う)。そして今日は長尾一大心、追悼試合。見守っていてくれた気がするぜ。長尾一大心、ありがとう! せーちゃん、明後日やってやろうぜ!」
吉岡「やってやろうぜ!」
<第2試合>
タッグマッチ 30分1本勝負
青柳優馬 田村男児 vs MUSASHI ライジングHAYATO

10・22後楽園大会でアジアタッグ王座を争ったばかりのMUSASHIとライジングHAYATOがタッグを結成し、青柳優馬&田村男児のヘビー&ジュニア混合コンビと対戦。
先発はMUSASHIと田村。MUSASHIは相手に背を向けて客席に向かって「釧路、盛り上がっていこうぜー!」を2連発。3回目は田村にバックを取られるも、互いに譲らずそれぞれタッチ。HAYATOと優馬になり、HAYATOがつかまる展開。HAYATOは優馬にショットガン・ドロップッキックを決めてMUSASHIにタッチ。MUSASHIは優馬を攻め立てるが、エクスプロイダー狙いは阻止される。優馬はカウンターのドロップキックを放って田村にスイッチ。田村が串刺しラリアット、ブレーンバスター。MUSASHIは延髄斬りを放ち、HAYATOへ。HAYATOは四つん這いの田村を踏み台にして、コーナーの優馬にドロップキック。MUSASHI&HAYATOが田村にブレーンバスターを狙うも、切り返されてしまう。優馬組がHAYATOに連続攻撃。田村のラリアットは優馬に誤爆。HAYATOがナガオDDTからウラカン・ラナで丸め込んで3カウント。
<MUSASHI&HAYATOのコメント>
MUSASHI「ありがとうございました。長尾一大心にね、『MUSASHIさん、なにやってんですか』って笑われないように、しっかり胸張って、このゼンニチジュニアで闘っていきます。これからも長尾一大心といっしょに闘います。ありがとうございました」
HAYATO「北海道シリーズで初の勝利を取ったよ。でもそんなことはどうでもよくて、長尾一大心というレスラーが、男が、人間がいたことをみんな忘れないでほしい。今日、最後勝った技、ナガオDDTって言って、アイツがずっと生前、デビューして俺といっしょに練習してた技だよ。これから俺は使い続ける。だからみんなもこの技を見るたびに、長尾を思い出して。何年経っても、長尾は後輩であって、仲間であって、家族だから」
<優馬&田村のコメント>
優馬「去年の今頃でしょうか。同じ釧路、同じ会場で…同じ会場って言ってもフロアは別ですけど、長尾一大心の地元釧路で長尾一大心とタッグを組んでメインイベントに出させてもらった思い出がありますけど。そのときは健闘むなしく負けてしまいましたが、世界ジュニアを目指すという心強い目標を掲げて。正直どのレスラーにも言えることですけど、最初デビューしたときって、チャンピオンになる姿とか、コイツが大物になるとかっていうのはまったく想像できないんですけど。意外とそういうものにすぐなったりするものなので、長尾一大心という男がチャンピオンになる姿を見るのを楽しみにしていたんですけど、残念ながらこういう形になってしまって、本当にボク自身も自分のことのように残念に思いますが。また、なんて言いますかね、ありきたりで本当に申し訳ないんですけど、先輩として恥じないような背中を見せていけるような全日本プロレスのレスラーであるように頑張りたいと思います」
田村「また釧路でやれることがいろいろあって、お客さんもこうやって楽しんでくれて、選手たちもいつも熱い試合を見せていきたいと思います。いつも心の中にあると思います。いつかジュニア戦線でやれるっていう、こうやってお互い切磋琢磨し合っていける関係だと。けどまだいるから、ずっといるから。それはけど、覚えてます、忘れないです。ありがとうございました」
<第3試合>
3WAYマッチ 20分1本勝負
黒潮TOKYOジャパン vs タロース vs 立花誠吾

UP TOWNの2人と身長213cmのタロースによる3WAYマッチ。タロースが最後に入場してくると、黒潮と立花は場外に退避。黒潮は立花に「分かってるな」と確認するように声をかけるも、立花から握手を求められるとタロースにすり寄って共闘関係を築く。立花はタロースにエルボー、ショルダータックルも歯が立たず。黒潮は立花を羽交い締めにしてタロースのエルボーを呼び込む。こずるく立ち回った黒潮だが、タロースが客席にアピールしている背後に回って丸め込みを狙うも、相手はビクともせず。策略がバレた黒潮はタロースにリフトアップされて、マットに叩きつけられる。黒潮と立花は2人がかりでタロースに攻撃を狙うが、それでも防戦は変わらず。黒潮はローキックからタロースの突進をかわし、立花とともに攻勢をかけるが、逆にラリアットでまとめて倒されてしまう。立花がタロースに回転エビ固めの体勢。踏ん張るタロースに黒潮がスワン式ドロップキックを放ってアシスト。しかし、黒潮はフォールを狙う立花を妨害。黒潮と立花の攻防になると、タロースがゆっくりと2人に近づく。黒潮&立花はふたたび2人がかりの攻撃を狙うが、タロースにまとめてブレーンバスターで投げられてしまう。タロースは2人を同時にチョークスラムで叩きつけるという、驚異的なパワーを見せてUP TOWNコンビを粉砕した。
<タロースのコメント>
タロース「ゼンニホン、またか? 何度やっても同じ結果だ。俺はもっとも恐れられている存在だからな。俺はいつでも準備万端だ。アヤベさんとタロースがすべてを手に入れるぞ。覚悟しとけ」
<黒潮&立花のコメント>
立花「このウソつき男が」
黒潮「みんなにいろんな今日があって明日がある」
立花「そうだな」
黒潮「いろんな昨日があって、いろんな来年がある。その中でもワーストワンぐらいダメージのある試合だった」
立花「本当に」
黒潮「もう四の五の言う気力もありません。すみません」
立花「北海道巡業あと4日? タロース当てんなよ、4日目に。ヒザが…ヒザが笑ってやがる」
<休憩前>
今大会のスペシャルゲストのはなわさんがリングに登場し、ヒット曲『佐賀県』を披露。ベースを置くと斉藤レイを呼び込み、自身が斉藤ブラザーズに楽曲提供した『どっち?』のカップリング曲『アラスカの空』を2人で熱唱。レイは初めてのリング上での歌唱となったが堂々と歌い上げ、最後ははなわさんとの「DOOM!」で場を締めた。
<レイのコメント>
レイ「今日はちょっと試合じゃなくてリング上で歌をうたうっていう。それもはなわさんといっしょに歌うっていう特殊なケースだったな。でも、とっても楽しく歌わせてもらったぜ。はなわさん、サンキュー。そして、今日は釧路大会。本当は長尾一大心がいっしょに戻ってくるはずだった。だがそれはできなかった。長尾の分も俺たちは前を向いて、この全日本プロレスをもっと盛り上げるために、前を向いて進んでいきたいと思う。長尾、また会ったら、今度は教えてなかった別のちゃんこの作り方、教えてやるから、楽しみに待っててくれよな。DOOM」
<第4試合>
6人タッグマッチ 30分1本勝負
オデッセイ 芦野祥太郎 潮﨑豪 vs 大森北斗 羆嵐 北海熊五郎

全日本マットで猛威を振るうHAVOCが、前日の帯広大会に続いての参戦となる北海熊五郎&北斗軍の異色トリオと激突。先発でオデッセイと熊五郎がド迫力のぶつかり合いを見せる。それぞれタッチで潮﨑と北斗の攻防。北斗からの投げキッスに対して、潮﨑は逆水平チョップで応戦。北斗は潮﨑を場外に落として、場外戦で痛めつける。リングに戻り、コーナー上の北斗に潮﨑がドロップキック。そこからHAVOCが攻勢に出る。北斗は芦野に変型のフェースバスターを決めて羆嵐につなぐ。羆嵐はセントーンから串刺しラリアット、セカンドコーナーからのダイビング・セントーンと畳みかける。アルゼンチン・バックブリーカーは芦野が脱出し、ランニング・エルボースマッシュを放って潮﨑にタッチ。潮﨑が羆嵐に逆水平チョップを連打。羆嵐は相手のブレーンバスター狙いを踏ん張り、アルゼンチンで担ぎ上げると、そのまま後方に叩きつける。北斗軍が潮﨑に波状攻撃を見せる。羆嵐が潮崎に埼玉に乾杯!を狙うと、芦野がカットに入って投げっぱなしジャーマン。両チームが入り乱れた中、潮﨑はコーナー上の攻防で羆嵐にひねりを加えたブレーンバスター。芦野とオデッセイの合体ジャーマンから、潮﨑が豪腕ラリアットを叩き込んで、HAVOCが快勝を収めた。
<HAVOCのコメント>
芦野「昨日の防衛と俺のGAORA奪取、完璧じゃないですか。豪さんは?」
潮﨑「俺、なんもねえな。俺、なんもねえな」
芦野「いやいやあるでしょ、豪腕が!」
潮﨑「(右腕を叩きながら)これがベルト代わりだよ」
芦野「HAVOCこのまま残りの4試合も俺たちHAVOCが全日本プロレスをかき回してやるよ」
全員「俺たちは、俺たちは、俺たちは、HAVOC!」
<北斗組のコメント>
北斗「昨日の今日でダメージが抜けきってねえところだから、仕方ねえとは言わねえけど、原因は分かってるから。俺の言いたいことはよ、今日も宮原健斗だよ。昨日も言ったけどよ、今日も言わせてくれ。おい健斗、オマエ、俺の北海道のファンがどうとか、北斗軍のファンがどうとか、オマエ長年ベルトを巻いてない間に焦りが出たか? 誰とかそういう具体的なこと言いたいわけじゃないけどよ、いま流行りの悪態つく系のチャンピオンになり下がったか? オマエ、いつからそんなしょっぺぇチャンピオンになっちまったんだよ。くだらねえところばっかり切り抜いてな、『こうですって皆さん、アハハ』みたいな、本当につまんねえよ。そんなつまんねえチャンピオンに俺は負ける気がしない。もしオマエがそんなに心配していることがあるとしても、安心しろよ。北斗軍のファンはな、いつだって俺のことを応援してくれている。この三冠も見に来てくれるし、北海道のみんなだって、仲間たちだってな、安心しろ、なにを言わずとも応援してくれるし、それに対して俺は応援に応えて、北斗軍は強くなっていくんだよ。こんなこと俺に言わせるなんて、オマエはチャンピオンとしてまだまだしょっぱいな」
羆嵐「HAVOCに2連敗。潮﨑豪、初対決だったな。悔しいわ、悔しいしかない。HAVOC、これで終わりだと思うなよ。俺個人でも、オマエら全員、真っ向勝負でぶっ倒してやるからな。首洗って待ってろ。ハァァー!」
<熊五郎のコメント>
熊五郎「ウガァー! ウガァ、ウガァー!」
<第5試合>
世界ジュニアヘビー級選手権試合 60分1本勝負
【第72代王者】青柳亮生 vs 佐藤光留【挑戦者】

10・11行田大会で井上凌を下して世界ジュニア王座V2に成功した青柳亮生に対して佐藤光留が挑戦表明をおこない、今大会でのタイトルマッチが決定。光留は挑戦表明の際に、「今日のニュースは辞めたヤツが戻ってきたことだと思うんだよ」と同大会で10年ぶりの古巣復帰を果たした潮﨑豪への意識をチラつかせた上で、「俺も全日本ジュニアなんだよ。それを覆すには自分のプロレスしかないんだ!」と激情を吐露した。亮生も光留の熱い思いに呼応するとともに、「思い入れのある場所」でのタイトルマッチを希望。全日本ジュニアの未来を担うはずだった長尾さんの生まれ故郷で、「ゼンニチジュニアが、全日本プロレスが一番すげぇんだってことを見せてやる」との強い意気込みを持ってリングに上がった。
光留から求められた握手に亮生が応じて、開始のゴング。序盤は静かな立ち上がりで、光留がグラウンドで主導権を握り、アキレス腱固めを決めると亮生がロープエスケープ。場外に出た亮生を光留が追うも、一足先にリングに戻った亮生がエプロンの光留にドロップキックを見舞い、追撃のプランチャ。亮生がエプロン上でブレーンバスターを狙うと、光留はロープ越しに亮生の左腕を取って脱出。さらに左足を取って痛めつけると、そこから徹底した足攻めを展開する。
防戦の亮生はアームホイップからドロップキック。ロコモーション式フィッシャーマンズ・スープレックス。ムーンサルト・プレスは光留がかわし、すかさず腕ひしぎ十字固めの体勢。アンクルホールドに移行し、逃れようとする亮生に延髄斬り。再びアンクルホールドの体勢、上体を起こした亮生を担ぎ上げてニークラッシャーからバックドロップの連続攻撃。なおも光留がヒザ十字固めからアンクルホールドで絞り上げる。亮生はみずから回転するように脱出すると、ロープ際の光留に619。スワン式ミサイルキックからムーンサルト・プレスを放つも、光留にヒザ剣山で防御される。光留がスタンディング・アキレス腱固め。亮生は延髄斬りで脱出し、トラースキック、旋風脚。再度のムーンサルト・プレスがヒットするもカウント2。ならばとファイアーバード・スプラッシュを投下して、熱戦を制した。
試合後、敗れた光留は王者と握手を交わし、みずから亮生の腰にベルトを巻く。マイクを手にした亮生は「オマエがいた全日本プロレスジュニア、そしてオマエが目指したこの世界ジュニアのベルトを俺たちがもっとすげぇもんにしていくからさ、見といてよ」と長尾さんにメッセージを捧げ、現在のゼンニチジュニア戦線を最前線で引っ張る王者としての責任感を示した。
<試合後の亮生のマイク>

亮生「キツい。釧路の皆さん、防衛大成功! そして、長尾一大心! オマエがいた全日本プロレスジュニア、そしてオマエが目指したこの世界ジュニアのベルトを俺たちがもっとすげぇもんにしていくからさ、見といてよ。そしてメインイベント、明るく楽しく激しい試合を見せてくれると思うので、青柳亮生はこのへんで“プルス・ウルトラ中締め”をしたいと思います。よろしいでしょうか? 青柳亮生が『全日本プロレス、さらに向こうへ』と叫ぶので、皆さん『プルス・ウルトラ!』とピースサインしてください。よろしいでしょうか? プルス・ウルトラ、プルス・ウルトラ、よろしいでしょうか? 全日本プロレス、さらに向こうへ! プルス・ウルトラ!」
<亮生のコメント>
亮生「見たか、これがゼンニチジュニアだ、これが世界ジュニアだ。リング上でも言ったけど、長尾が目指したこのベルト、そして生まれ育った全日本プロレス、ゼンニチジュニアでもっともっと盛り上げていくからさ。長尾も応援してくれる、みんなも見守っていてください。そしてゼンニチジュニアを信じていてください。今日はありがとうございました」
<光留のコメント>
光留「まだ始まってもねえからな。佐藤光留のゼンニチジュニアがなくなったら、また作ればいいんだよ。生きてんだよ、生きてる限り作るんだよ」
<第6試合・メインイベント>
8人タッグマッチ 30分1本勝負
宮原健斗 斉藤ジュン ザイオン 小藤将太 vs 鈴木秀樹 安齊勇馬 綾部蓮 井上凌

メインでは現・前の三冠ヘビー級王者の宮原健斗&斉藤ジュンとともに、長尾さんへの深い哀悼の意を表してきたザイオンがユニットを超越して同じコーナーに立ち、さらに長尾さんの生前最後の対戦相手でライバル関係の構築が期待されていた小藤将太も加えて、一夜限りのカルテットを結成した。
まず、宮原が入場すると、大きな「ケント」コール。ザイオンは緑のネックレスを身に着け、コーナー上で天を仰ぎ見る。秀樹もザイオンと同様に緑のネックレスを首にかけて入場。神林レフェリーもグリーンのシャツに身を包んで試合を裁く。8選手がリングに揃うと、宮原が「帰って来たぜ、釧路!」と叫ぶ。
先発はザイオンと安齊。ザイオンがヘッドロックを決め、ショルダータックル合戦から安齊がドロップキック。ザイオンも串刺しスピアから猛烈なパワーでコーナーマットに叩きつける。それぞれタッチで宮原と綾部の攻防。宮原がカウンターのフロントキック。グラウンドに誘い込むも、綾部がすぐに脱出。宮原から小藤にタッチすると、相手チームは秀樹が出て来る。小藤のエルボーに秀樹はエルボースマッシュを返す。小藤はカウンターのドロップキック、さらにドロップキックを連発し、卍固めを仕掛ける。秀樹がロープエスケープ。
小藤がエルボーも、秀樹はカウンターでボディーにエルボー。コーナーに詰めると、秀樹がボディーにエルボーを連打。小藤も張り手で応戦するが、秀樹は執ようにエルボーを叩き込む。挑発してくる秀樹に小藤が張り手を連打も、ボディーへのエルボーでコーナーにへたり込む。秀樹からタッチを受けた井上も小藤のチョップを受け止め、強烈な蹴りを放つ。井上から綾部へ。小藤が綾部にチョップを連打するが、綾部がエルボー一発で倒す。場内から「コフジ」コール。綾部が小藤にハイアングルのボディースラム、逆エビ固めで締め上げる。小藤が懸命にロープエスケープ。
防戦の小藤は綾部の突進を食い止め、セカンドコーナーからミサイルキック。宮原が「コフジ」コールを煽り、小藤からジュンにタッチ。ジュンは綾部に串刺しフロントキック。ショルダータックルで倒し、エルボードロップを投下。チョークスラム狙いは綾部が阻止し、エルボー。綾部はランニング・ネックブリーカードロップを決めて安齊につなぐ。安齊はジュンに串刺しエルボー、ベリー・トゥ・ベリー。エルボーのラリー。ジュンがオーバーハンドチョップを放つも、安齊もカウンターでドロップキック。ジュンはスピアを返して、ザイオンにタッチ。
ザイオンは安齊にスパインバスター。デスバレーボム狙いは安齊が脱出し、カウンターでジャンピング・ニーバット。安齊から井上につなぐと、ザイオンも宮原にタッチ。宮原が井上に低空ドロップキック。トレイン攻撃は井上が防ぎ、宮原にバックドロップ。秀樹組が宮原にトレイン攻撃。井上が宮原にサッカーボールキック。宮原はカウンターのフロントキック。ブレーンバスター狙いは井上が踏ん張り、リバースで叩きつける。両チームの選手が入り乱れる中、小藤が安齊にドロップキックを放ち、綾部にもコーナートップからのミサイルキック。井上にもアームドラッグからフィッシャーマンズ・スープレックスの畳みかけ。
ザイオンが井上にデスバレーボム、続けてジュンがラリアット。宮原は「ケント」コールの中、井上にブラックアウト。シャットダウン・スープレックス狙いは井上が必死の抵抗を見せるも、宮原がぶっこ抜いて3カウント。ヘビー級を中心としたぶつかり合いの中で、小藤の奮闘が光る一戦となった。
試合後、宮原がマイクを手にすると、「リング上にいるレスラーたちそれぞれ、一大心との思い出がある。だから俺たち全日本プロレス、レスラー、そしてスタッフのみんな、この胸に一大心の思いとともにこれからも歩いていく」と選手を代表して長尾さんへの思いを語るとともに、来年以降も釧路に帰ってくることを約束。その後、出場選手がリングサイドに集まり、ザイオンと小藤が長尾さんの遺影を持つ中で、追悼の10カウントゴングが捧げられる。
10カウントゴングが終わると、「赤コーナー、北海道釧路市出身、170パウンド、長尾一大心!」の選手コールとともに、長尾さんが使用するはずだった入場テーマ曲が流れる。場内が「タイシン」コールに包まれる中、小藤が長尾の遺影を掲げ、メインを闘った8選手が手を上げる。ザイオンがあらためて長尾の遺影を掲げ、さらなる「タイシン」コール。ザイオンが遺影をリング中央に置き、鳴りやまぬ拍手の中で長尾さんの追悼大会を終えた。

<試合後の宮原のマイク>
宮原「帰ってきたぜ、釧路! そして今日は最後までの応援、本当にありがとうございました! ボクたち全日本プロレスにとって、ここ釧路は長尾一大心が大切な大切な愛した場所だから、俺たち全日本プロレスにとっても大切な場所だ。そしていま、リング上にいるレスラーたちそれぞれ、一大心との思い出がある。だから俺たち全日本プロレス、レスラー、そしてスタッフのみんな、この胸に一大心の思いとともにこれからも歩いていくぜ。また、一大心の大好きな大切な場所だったここ釧路に、俺らは必ず戻って来る。そのときは皆さまが一大心を思う大切な気持ち、そして俺たちの一大心に対する思いを、またここでみんなと分かち合おうぜ。タイシン!(場内から「タイシン」コールが起こる)ありがとう! また、明日から俺たちは日本全国で一大心の気持ちとともに、このリングの上で闘っていきます。また皆さまに会えるのを楽しみにしてるぜ。最後に会場のみなさんに聞きたーい! 一大心、そして釧路、最高ですかー!(「最高!」の声)。長尾一大心、そして釧路……最高」
<宮原組のコメント>
宮原「釧路ありがとうございました。長尾一大心、会場の皆さまの顔を見たら分かる通り、みんなに愛されているな。リング上に立つプロレスラー、そして関係者、ファンの皆さま、そして釧路のファンの皆さま、すべての人に愛される、長尾一大心にしかできないことだと思うし。そんな長尾一大心が作った、この釧路でのプロレス熱っていうものを俺たちは引き継がないといけないし。俺がリング上でも言ったけど、年に1回、釧路に来て、長尾一大心のことを思う、そんな気持ちを持った人たちが集まって、みんなで一大心のことを思う気持ちを共有して、こういう場所をこれからも作っていきたいと思います。これからも、(胸を叩きながら)俺たちの胸の中にはいつもいるから。また明日から全日本プロレスは、歩み続けるぜ」
小藤「長尾一大心、勝ち逃げした上に泣かせやがって。絶対に許さない。でも、アイツが愛したこの全日本プロレス、ゼンニチジュニア、俺はこのゼンニチジュニアを必ず日本一のゼンニチジュニアにしてやる。誰がなんと言おうと、俺がゼンニチジュニアを日本一にしてみせます。そしてまずは目の前のアジアタッグ、絶対に取ります。ありがとうございました」
ザイオン「タイシンは真の勇者だった。初めて彼と闘ったときに、その強さを感じた。俺たちはすぐに友達になり、兄弟になった。リングに上がったとき、自分だけではなく、リング上にいた全員がタイシンの魂を感じた。彼の家族、友人、彼を愛するすべての人々がタイシンを愛していた。今日はタイシンが勝者だ。タイシンのことを思い出さない日は一日もない。いまでも一番心に残っているのは、彼の笑顔だ。タイシン、会いたいよ。みんなキミに会いたがっているよ。でも、サヨナラは言わない。また会おう、兄弟。兄弟よ、永遠に」
ジュン「北海道4戦目in釧路、しっかりDOOMしたぜ。長尾一大心、俺たちはオマエのことを絶対に忘れない。いつかいっしょにDOOMしよう。またな」
<井上、綾部、安齊のコメント>
井上「長尾が亡くなって約1カ月あまり、ちょっと落ち着いてきたかなと思ったけど、やっぱりふとアイツがいればなって、なんかそういう時々思うときがあります。やっぱり俺は同じ全日本ジュニアとして、もっともっと競い合いたかったし、もっともっとプライベートでもいろんなことやっていきたかったです。でも今日、こうやって特別な人たちとタッグマッチ組めたこと、これも長尾一大心のおかげだと思ってます。本当に長尾一大心には感謝しかないです。長尾、ありがとうございました」
綾部「本当に1年前、釧路の会場で長尾の凱旋試合、相手もさせてもらって、物凄い盛り上がりで。その1年後、また釧路大会というタイミングでこういうことになってしまったのは、本当にショックしかないし、複雑な思いがメチャクチャあるんですけど。本当に長尾一大心には前も言いましたけど、同じ日に全日本プロレス入って、同じ合宿所で生活していた時期も長かったし、本当に立場は違えどいっしょに頑張ってきた人間として感謝の気持ちもあるし。今後どんどん長尾の分までとかそんな大層なことは言えないけど、長尾一大心に恥じない闘いっていうのを、全日本プロレスらしい闘いっていうのを全力でこれからも見せて、綾部蓮自身もトップに駆け上がっていくサマを、長尾に届けられるような闘いをこれからもしていきたいと思います。長尾一大心、ありがとう」
安齊「いまでも信じられないし、いまでも全然信じたくないし、ただこうやって長尾に追悼とかたくさん重ねる中で、やっぱり受け入れなくちゃいけないんだなって思いをもちろんあって。長尾が入ってからまだ全然時間も経ってないのに、急にいなくなって。俺たちが長尾のプロレスの続きをすることはできないけど、宮原さんがリングで言ってたけど、俺たちこの3人だけじゃなく所属、全日本に上がる選手全員が長尾の思いを背負って、これからも全日本プロレスを皆さんに、そして長尾一大心に届けたいと思います。長尾が見ていて悔しがるような、そして尊敬するような、この道場3人の格好いい先輩の姿をこれからも届け続けます。長尾、ありがとう」